最初に結論から:Slackとは何かを一言で言うと?
Slack(スラック)とは、職場での会話をまとめて管理できる、オンラインの「部屋」のようなツールです。
もう少し噛み砕いて説明すると、メールや電話よりも気軽に、LINEよりも仕事向きに整理された「会話の場所」を作れるサービスです。
たとえば、会社の中に「営業チームの部屋」「開発チームの部屋」「雑談用の部屋」といった具合に、テーマごとに分けられた会議室があると想像してみてください。Slackでは、そうした部屋を「チャンネル」という単位で自由に作ることができ、必要な人だけを招待して、関連する話題をそこに集約できます。
メールだと「誰に送ったか」「どの話題だったか」が埋もれやすく、LINEだとプライベートと混ざってしまう。Slackはその中間にあって、「仕事用に最適化された、整理されたチャット空間」という位置づけです。
公式サイト:Slack
「メールだと遅い、LINEだと混ざる」はなぜ起きるのか
リモートワークや在宅勤務が増えた今、「どうやってチームで情報を共有するか」に悩んでいる方は多いはずです。
メールでやり取りしていると、こんなモヤモヤが生まれます。
- 件名で検索しても目的のメールがすぐ見つからない
- CCに入れた人全員に通知が飛んで、かえって邪魔になる
- 返信が遅れると、話の流れが途切れてしまう
- 添付ファイルがどのメールに入っていたか思い出せない
一方、LINEで仕事の連絡をすると、プライベートのグループと混在してしまい、「あの資料、どこに送ったっけ?」と探すのが大変です。
これらの問題は、「会話が時間順に流れていくだけで、整理する仕組みがない」ことが原因です。
Slackは、チャンネルという「テーマ別の部屋」を作ることで、情報を整理しながらリアルタイムにやり取りできるよう設計されています。また、過去のメッセージをキーワードで検索したり、ファイルを一覧表示したりする機能も充実しているため、「あの話、どこだっけ?」が起きにくくなります。
Slackを分解して理解する
Slackの全体像を理解するために、3つの要素に分けて見ていきましょう。
①チャンネルとダイレクトメッセージ:会話の「部屋」を使い分ける
Slackでは、会話をする場所が大きく2種類あります。
チャンネルは、複数人が参加できる公開の会議室のようなもの。たとえば「#営業部」「#プロジェクトA」「#雑談」といった名前をつけて、必要なメンバーだけを招待できます。チャンネル名の頭に「#(ハッシュ)」がつくのが特徴です。
誰でも参加できる「公開チャンネル」と、招待された人だけが見られる「プライベートチャンネル」の2種類があり、用途に応じて使い分けられます。
一方、ダイレクトメッセージ(DM)は、特定の個人やグループと1対1、または少人数でやり取りする場所です。ちょっとした確認や個人的な相談など、全体に公開する必要のない会話に使います。
②スレッド:話題を枝分かれさせて整理する
チャンネルの中でメッセージが増えていくと、「どの返信がどの話題に対してのものか」がわかりにくくなることがあります。
そこで役立つのがスレッド機能です。
スレッドとは、特定のメッセージに対して「返信」を枝分かれさせる仕組みです。元のメッセージにマウスを合わせて「スレッドで返信」を選ぶと、その話題だけを別の場所にまとめて表示できます。
たとえば、「#プロジェクトA」というチャンネルで「今週の進捗」と「来月の予算」という2つの話題が同時に進んでいても、それぞれスレッドに分けることで、会話が混ざらずに済みます。
③連携機能:他のツールと繋げて情報を集約する
Slackの大きな強みのひとつが、外部サービスとの連携です。
たとえば、GoogleカレンダーやGoogleドライブ、Trelloなどのプロジェクト管理ツール、GitHubなどの開発ツールと連携することで、Slackの中で通知を受け取ったり、ファイルを共有したりできます。
連携は「アプリ」と呼ばれる追加機能を導入することで実現します。Slackの公式サイトには、数千種類のアプリが用意されており、無料プランでも利用できます。
これにより、「メールで通知が来て、ブラウザでツールを開いて確認する」という手間が減り、Slackを開くだけで必要な情報にアクセスできるようになります。
公式アプリディレクトリ:Slack App Directory
実際の場面でどう役立つのか
Slackがどんな風に使われているのか、具体的な例を3つ紹介します。
例①:リモートワークで「今、誰が何をしているか」を共有する
在宅勤務が増えると、「今、あの人は忙しいのかな?」「この質問、今していいかな?」と迷うことが増えます。
Slackでは、自分の状態を「ステータス」として設定できます。たとえば「会議中」「集中タイム」「昼休み」といった表示をプロフィールに出しておくことで、メンバーが「今は声をかけないほうがいいな」と判断しやすくなります。
また、「#今日のタスク」のようなチャンネルを作って、朝に「今日やること」を投稿し合うチームもあります。これにより、誰が何をしているかが可視化され、重複や抜け漏れを防げます。
例②:プロジェクトごとにチャンネルを作って、情報を一箇所にまとめる
小さな会社や個人事業主の方が複数のクライアント案件を抱えている場合、「A社の資料」「B社の進捗」「C社の請求書」といった情報が散らばりがちです。
Slackでは、案件ごとにチャンネルを作ることで、関連するメッセージ、ファイル、タスクをすべてそこに集約できます。たとえば「#案件_A社」というチャンネルを作り、A社とのやり取りや社内での相談、納品物の共有をすべてそこで行う、という使い方です。
チャンネルは後から検索できるので、「去年のA社案件で使った資料、どこだっけ?」というときも、チャンネル名で絞り込んで探せます。
例③:外部のパートナーやクライアントとも安全に連絡を取る
Slackには「Slack Connect」という機能があり、異なる会社のSlackワークスペース同士を繋げて、外部の人とチャンネルを共有することができます。
これまでは、外部とのやり取りはメールかZoomが主流でしたが、Slack Connectを使えば、社内メンバーと同じようにリアルタイムでやり取りできます。
たとえば、デザイナーに外注している場合、「#デザイン案件_X」というチャンネルを作り、そこにデザイナーを招待すれば、修正依頼やファイルのやり取りがスムーズになります。
メールだと「添付ファイルが重くて送れない」「返信が埋もれる」といった問題がありますが、Slackならファイルをドラッグ&ドロップで共有でき、スレッドで話題を整理できます。
よくある誤解と落とし穴
Slackを使い始めたばかりの方が、よくハマる勘違いや失敗例を整理します。
誤解①:「通知が多すぎて、かえって集中できない」
Slackを導入した直後、「通知が鳴りっぱなしで仕事にならない」と感じる人は少なくありません。
これは、通知の設定を調整していないことが原因です。
Slackでは、チャンネルごとに通知の受け取り方を細かく設定できます。たとえば、「自分がメンションされたときだけ通知」「このチャンネルはミュート(通知オフ)」といった具合です。
また、「おやすみモード」を設定すれば、夜間や休日の通知を一時的にオフにすることもできます。
初期設定のまま使うのではなく、自分の働き方に合わせて通知をカスタマイズすることが、Slackを快適に使う第一歩です。
誤解②:「チャンネルを作りすぎて、どこに何があるかわからなくなる」
Slackは自由にチャンネルを作れるため、「とりあえず作っておこう」と増やしすぎると、かえって情報が散らばってしまいます。
対策としては、チャンネル名にルールを設けることが有効です。
たとえば、プロジェクト関連は「#proj-○○」、部署ごとは「#team-○○」、雑談系は「#random-○○」といった命名規則を決めておくと、一覧で見たときに整理されて見えます。
また、使わなくなったチャンネルは「アーカイブ」することで、一覧から非表示にできます。過去のメッセージは検索で引き続き見られるので、削除する必要はありません。
誤解③:「無料プランだと機能が足りないのでは?」
Slackには無料プランと有料プラン(プロ、ビジネスプラス、エンタープライズグリッド)がありますが、無料プランでも基本的な機能は十分に使えます。
無料プランの主な制限は以下の通りです。
- 過去90日分のメッセージしか見られない
- 連携できる外部アプリが10個まで
- ビデオ通話が1対1のみ
逆に言えば、小規模なチームや個人事業主の方なら、無料プランでも困らないケースが多いです。「過去のメッセージを長期保存したい」「複数人でビデオ会議をしたい」といったニーズが出てきたら、有料プランを検討すればよいでしょう。
料金プランの詳細:Slack料金プラン
今日からできる「一歩目」
Slackに興味を持ったら、まずは以下の手順で触ってみることをおすすめします。
①無料でアカウントを作ってみる
Slackは公式サイトからメールアドレスだけで無料登録できます。クレジットカードの登録も不要です。
まずは「自分専用のワークスペース」を作ってみましょう。ワークスペースとは、Slackの中で作る「会社」や「チーム」の単位です。ひとりでも作れるので、練習用に作って触ってみるのがおすすめです。
②チャンネルを1つ作って、自分でメッセージを投稿してみる
ワークスペースを作ったら、「#テスト」というチャンネルを作って、自分宛にメッセージを投稿してみてください。
メッセージには、テキストだけでなく、画像やPDFなどのファイルを添付することもできます。ドラッグ&ドロップで簡単にアップロードできるので、試しに適当なファイルを送ってみましょう。
③よく使うツールと連携してみる
もし普段GoogleカレンダーやTrelloなどを使っているなら、Slackと連携させてみましょう。
Slackの左サイドバーにある「アプリを追加する」から、使いたいサービス名で検索すると、連携方法が表示されます。たとえばGoogleカレンダーと連携すると、予定の15分前にSlackで通知を受け取れるようになります。
最初は1つか2つのアプリを試してみて、「Slackの中で情報がまとまる便利さ」を体感してみてください。
もっと深く学びたい人への道しるべ
Slackの基本を押さえたら、次のステップとして以下のテーマも学んでみると、より効果的に活用できます。
ワークフロー自動化と組み合わせる
Slackは、MakeやZapierといったワークフロー自動化ツールと組み合わせることで、さらに便利になります。
たとえば、「Googleフォームで問い合わせが来たら、自動的にSlackの特定チャンネルに通知する」といった自動化が、コードを書かずに実現できます。
NeuroStackの「初心者向けガイド」カテゴリには、ワークフロー自動化に関する記事もありますので、興味があればぜひご覧ください。
API連携で他のツールと繋げる
もう少し技術的なことに挑戦したい方は、API連携を学ぶと、Slackの可能性が大きく広がります。
たとえば、自社のシステムからSlackにメッセージを自動送信したり、Slackのメッセージを他のデータベースに保存したりといったことが可能になります。
NeuroStackの「API連携(アプリ連携)をやさしく解説」の記事では、専門用語を使わずにAPIの基本を説明していますので、併せて読んでみてください。
プロジェクト管理ツールと併用する
Slackは会話に強いツールですが、タスクの進捗管理や期限の可視化には、専用のプロジェクト管理ツールを併用するのがおすすめです。
TrelloやAsana、Notionなどと連携させることで、「Slackで会話して、タスクはプロジェクト管理ツールで管理する」という役割分担ができます。
NeuroStackの「プロジェクト管理ツールをやさしく解説」の記事も参考になります。
まとめ
Slackは、職場での会話を整理しながらリアルタイムにやり取りできる、ビジネスチャットツールです。
チャンネルで話題を分け、スレッドで会話を枝分かれさせ、外部ツールと連携して情報を集約することで、メールやLINEでは実現できない「整理された会話の場」を作れます。
通知の設定を調整し、チャンネル名にルールを設け、無料プランから始めることで、初心者でも無理なく使いこなせます。
まずは無料でアカウントを作り、自分専用のワークスペースで試してみることから始めてみてください。そして、よく使うツールと連携させて、「Slackの中で情報がまとまる便利さ」を体感してみましょう。
Slackを上手に使えば、リモートワークでもチームの一体感を保ちながら、効率よく仕事を進められるようになります。