「顧客リストをExcelで管理しているけど、もっとスマートに整理したい」「プロジェクトごとのタスクや進捗を一元管理したいけど、難しいデータベースは触りたくない」——そんな悩みを持つ個人事業主や小さなチームの方に、ぜひ知ってほしいのがAirtable(エアテーブル)です。
Airtableは、見た目はスプレッドシートのように直感的でありながら、裏側ではデータベースとしての強力な機能を持つ、ノーコードで使えるデータ管理ツールです。Excelのような表計算ソフトでは実現しにくかった「データ同士のリンク」や「複数の見せ方(ビュー)の切り替え」が簡単にでき、NotionやTrelloとはまた違ったアプローチで、情報の整理と可視化を実現してくれます。
この記事では、Airtableの基本機能から実際に使ってわかったメリット・デメリット、料金プラン、そして類似ツールとの比較まで、フラットな視点で詳しくレビューしていきます。「データ管理をもっと効率化したい」「ノーコードで業務システムっぽいものを作りたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
Airtableの概要と基本情報
Airtableは、2012年にアメリカで誕生したクラウド型のデータベースツールです。スプレッドシートのUIとデータベースの機能を融合させた独自のアプローチで、世界中で30万以上の企業や組織に利用されています。
基本スペック
- カテゴリ:ノーコードデータベース / データ管理プラットフォーム
- 提供形態:Webアプリ / デスクトップアプリ(Windows・Mac) / モバイルアプリ(iOS・Android)
- 対応言語:英語(UIは基本英語表記ですが、日本語データの入力・表示には対応)
- 主なユースケース:顧客管理(CRM)、プロジェクト管理、在庫管理、コンテンツカレンダー、イベント運営、採用管理、アイデア管理など
料金プラン(2025年最新情報)
Airtableは無料プランから始められますが、本格的にチームで使う場合は有料プランの検討が必要です。
| プラン名 | 月額料金(年払い時) | 主な制限・特徴 |
|---|---|---|
| Free | 無料 | 1ベースあたり1,000レコードまで / 2GBのストレージ / 無制限のベース作成可能 |
| Team | $20/ユーザー(約3,000円) | 50,000レコード/ベース / 自動化5,000回/月 / 拡張機能利用可能 |
| Business | $45/ユーザー(約6,800円) | 125,000レコード/ベース / 自動化25,000回/月 / 管理者パネル / 拡張機能の高度な利用 |
| Enterprise Scale | 要問い合わせ | 500,000レコード/ベース / 無制限の自動化 / SSO・高度なセキュリティ機能 |
※料金は2025年6月時点の情報です。最新の料金は公式サイトでご確認ください。
特徴的なのは、ユーザー数に応じた課金体系(シートライセンス)を採用している点です。Notionのように無料プランで10人まで招待できるわけではなく、複数人で本格的に使う場合は早めに有料プランへの移行が必要になります。
主な機能とできること
Airtableの魅力は、データベースの強力さとスプレッドシートの使いやすさが共存している点にあります。具体的にどんなことができるのか、主要機能を見ていきましょう。
1. 多様なフィールドタイプでデータを構造化
Excelでは「セルに何でも入力できる自由さ」がありますが、逆に言えば「データの型がバラバラになりやすい」という弱点があります。Airtableでは、フィールド(列)ごとに「データの型」を指定できるため、データの整合性を保ちやすくなります。
- テキスト:通常のテキスト入力
- 数値:数値のみ入力可能(自動で計算も可能)
- 日付:カレンダー形式で日付を選択
- 選択肢(Single Select / Multiple Select):プルダウンから選択(ステータス管理などに便利)
- チェックボックス:完了/未完了の管理に
- 添付ファイル:画像やPDFなどをアップロード
- URL:リンクを自動でクリック可能に
- 評価(Rating):星マークで評価を記録
- リンク(Linked Record):他のテーブルとデータを関連づけ(後述)
実務での使い方例:顧客管理テーブルを作る場合、「会社名」はテキスト、「契約状態」は選択肢(見込み客/商談中/契約済み)、「最終連絡日」は日付、「資料」は添付ファイル、といった形で設定すれば、データの入力ミスや表記ゆれを防げます。
2. リンク機能で複数のテーブルを関連づけ
Airtableの最大の強みが、この「リンク(Linked Record)」機能です。これは、リレーショナルデータベースの「リレーション」に相当する機能で、複数のテーブル間でデータを結びつけることができます。
実務での使い方例:
- 「顧客テーブル」と「案件テーブル」をリンクして、どの顧客にどの案件が紐づいているかを一目で把握
- 「プロジェクトテーブル」と「タスクテーブル」をリンクして、プロジェクトごとのタスク一覧を自動表示
- 「イベントテーブル」と「参加者テーブル」をリンクして、イベントごとの参加者リストを管理
Excelだと「別シートにVLOOKUP関数を書いて…」となりがちですが、Airtableではクリック操作だけでデータの関連づけができます。
3. 多彩なビュー(表示形式)で同じデータを違う角度から見る
Airtableでは、1つのテーブルに対して複数の「ビュー」を作成できます。これにより、同じデータを状況に応じて最適な形で表示できます。
- Grid View(グリッドビュー):スプレッドシート風の表形式(デフォルト)
- Calendar View(カレンダービュー):日付フィールドを基にカレンダー表示
- Kanban View(カンバンビュー):Trello風のカード形式でステータス管理
- Gallery View(ギャラリービュー):画像を大きく表示するカード形式
- Form View(フォームビュー):外部からデータ入力を受け付けるフォーム
- Timeline View(タイムラインビュー):ガントチャート風のスケジュール表示
実務での使い方例:コンテンツ制作チームの場合、記事の一覧はGrid Viewで確認し、公開予定日はCalendar Viewで確認、制作ステータス(執筆中/レビュー中/公開済み)はKanban Viewで確認——といった使い分けができます。
4. 自動化(Automation)で定型作業を削減
Airtableには、Zapierのような自動化機能が標準搭載されています。「〇〇が変更されたら△△する」という条件付きアクションを、ノーコードで設定可能です。
- ステータスが「完了」になったら、担当者にSlack通知を送る
- 新しいレコードが追加されたら、Gmailで確認メールを送信
- 期限が近づいたら、自動でリマインド通知を送る
ただし、無料プランでは自動化回数に制限があるため、本格的に使う場合は有料プランが必要です。
5. 外部ツールとの連携・拡張機能
AirtableはAPIが公開されており、Zapier・Make(旧Integromat)・Slack・Google Calendar・Gmailなど、さまざまな外部ツールと連携できます。また、「Extensions(拡張機能)」を使えば、チャート作成やページデザイン機能を追加することも可能です。
実際に触ってわかったメリット
ここからは、実際にAirtableを使ってみて感じた「ここが良い」というポイントを、具体的にお伝えします。
1. スプレッドシートの直感性とデータベースの構造化が両立している
Airtableの最大の魅力は、「Excelのように気軽に始められて、データベースのように厳密に管理できる」という絶妙なバランスです。
Excelに慣れている人なら、ほとんど説明なしで使い始められます。一方で、「顧客情報と案件情報を別テーブルで管理して、リンクで関連づける」といったデータベース的な設計も、クリック操作だけで実現できます。
どんな人にとってメリットか:「Excelでの管理に限界を感じているけど、SQLやAccessは難しそう」と感じている個人事業主や小規模チームの方に最適です。
2. UIがおしゃれで、データ管理が「楽しく」なる
正直なところ、Airtableは見た目がおしゃれです。カラフルなフィールド設定や、ギャラリービューでの画像表示など、視覚的に気持ちいいデザインになっています。
これは単なる「見た目の問題」ではなく、「データ整理を続けるモチベーション」に直結します。Excelの無機質な表より、Airtableのカンバンビューやギャラリービューの方が、定期的に見たくなるんです。
どんな人にとってメリットか:デザイン性を重視する方、クリエイティブ系の仕事をしている方、チーム内でツールを定着させたいリーダーの方におすすめです。
3. リンク機能でデータの重複入力が激減する
Excelで顧客管理をしていると、「顧客情報をコピペして案件シートに貼る」「同じ情報を複数の場所に入力する」といった二度手間が発生しがちです。
Airtableでは、リンク機能を使えば「顧客名を選ぶだけで、住所やメールアドレスが自動で表示される」といった設計ができます。これにより、データの重複入力やコピペミスから解放されます。
どんな人にとってメリットか:顧客数や案件数が増えてきて、Excelでのコピペ作業が増えてきた方、データの整合性を保ちたい方に向いています。
4. テンプレートが豊富で、すぐに使い始められる
Airtableには、公式テンプレートが数百種類用意されています。CRM、プロジェクト管理、コンテンツカレンダー、イベント管理、在庫管理など、さまざまな業務に対応したテンプレートがあり、「ゼロから設計する」必要がありません。
テンプレートをベースにカスタマイズしていけば、数時間で業務用のデータベースが完成します。
どんな人にとってメリットか:「データベース設計が苦手」「とにかく早く使い始めたい」という方におすすめです。
5. モバイルアプリが優秀で、外出先からでも更新できる
AirtableのiOS/Androidアプリは、Web版とほぼ同じ機能が使えます。外出先で顧客訪問した後、すぐにスマホから商談メモを記録したり、ステータスを更新したりできます。
特に、カメラで撮影した写真をそのまま添付ファイルとして登録できる機能は、現場仕事が多い業種(不動産、建設、イベント運営など)で重宝します。
どんな人にとってメリットか:外出が多い営業職、フィールドワークが中心の方、リモートワークで場所を選ばず仕事をしたい方に向いています。
気になった点・注意しておきたいポイント
もちろん、Airtableにも「ここは注意が必要」というポイントがあります。デメリットも含めて、フラットにお伝えします。
1. UIが基本的に英語表記(日本語情報も少なめ)
Airtableの最大のハードルは、UIが基本的に英語だということです。日本語でデータを入力・表示することは問題なくできますが、設定画面やヘルプドキュメントは英語が中心です。
また、日本語での解説記事やチュートリアル動画も、NotionやTrelloに比べると少なめです。英語に抵抗がある方は、最初の学習コストがやや高く感じるかもしれません。
対策:公式テンプレートを使えば、設定の意味を推測しながら進められます。また、最近はDeepLやChatGPTで英語ドキュメントを翻訳しながら使う方法もあります。
2. 無料プランの制限がやや厳しめ(特にチーム利用時)
無料プランでは、1ベースあたり1,000レコードまでという制限があります。個人で試す分には十分ですが、顧客リストや商品データベースとして本格的に使うには、すぐに上限に達してしまう可能性があります。
また、Notionのように「無料プランで複数人招待OK」というわけではなく、チームで使う場合は早めに有料プラン($20/ユーザー/月〜)への移行が必要です。
どんな人には合わないか:「とりあえず無料でチーム全員に使わせたい」という場合は、Notion(無料で10人まで)の方が向いているかもしれません。
3. 「ドキュメント作成」は苦手(Notionとの違い)
Airtableはあくまでもデータベースツールなので、長文の文章を書いたり、議事録やナレッジベースを作ったりするのは得意ではありません。
Notionは「ドキュメント + データベース」が統合されていますが、Airtableは「データベース特化型」です。もし「文章もデータも一元管理したい」という場合は、Notionの方が向いています。
どんな人には合わないか:議事録やマニュアル作成も含めて、すべてを1つのツールで完結させたい方には、Notionの方が適しています。
4. 複雑な設計になると、管理が大変になる
リンク機能やフォーミュラ(計算式)を駆使して複雑なデータベースを作ると、後から「どこで何がリンクされているか分からない」という状態に陥ることがあります。
特に、複数のテーブルを相互にリンクしたり、計算式を多用したりすると、メンテナンスが難しくなります。「シンプルに使う」ことを意識しないと、逆に管理の手間が増えてしまうリスクがあります。
対策:最初は欲張らず、必要最低限のテーブルとリンクから始めることをおすすめします。
5. 自動化・拡張機能は有料プランが前提
Airtableの自動化機能や拡張機能は、無料プランでは回数制限があったり、一部機能が使えなかったりします。本格的にワークフロー自動化を組みたい場合は、有料プラン(Team以上)への移行が必要です。
もし「自動化メイン」で考えているなら、Zapier + Googleスプレッドシートの組み合わせや、Notion + Makeの組み合わせも検討する価値があります。
類似ツールとの比較
Airtableと比較されることが多いツールとの違いを整理します。
Airtable vs Notion
| 比較項目 | Airtable | Notion |
|---|---|---|
| 強み | データベース機能(リンク・ビュー・フィールド型管理) | ドキュメント機能(議事録・Wiki・長文記事) |
| UI | スプレッドシート風(データ重視) | ブロックエディタ風(文章重視) |
| 無料プラン | 1,000レコード/ベース、複数人利用は有料 | 10人まで無料招待可能 |
| 日本語対応 | UIは英語(データは日本語OK) | UIも日本語対応 |
| 向いている人 | データ管理・CRM・在庫管理がメイン | ドキュメント+データベースの両方使いたい |
選び方のポイント:
- データ管理がメイン、Excel脱却したい → Airtable
- 議事録・マニュアル・ナレッジベースも含めて一元管理したい → Notion
Airtable vs Googleスプレッドシート
| 比較項目 | Airtable | Googleスプレッドシート |
|---|---|---|
| 強み | データベース設計・リンク機能・多彩なビュー | 表計算・関数・ピボットテーブル |
| データ型管理 | フィールドごとに型を指定できる | セルに何でも入力可能(自由度高い) |
| 料金 | 無料プランあり、本格利用は有料 | 基本無料(Google Workspaceで高度な機能) |
| 向いている人 | データの整合性を保ちたい、複数テーブルを関連づけたい | 計算中心、ピボットテーブルやグラフ作成がメイン |
選び方のポイント:
- 計算やグラフ作成がメイン → Googleスプレッドシート
- 顧客管理・案件管理など、データ同士をリンクさせたい → Airtable
Airtable vs Trello
| 比較項目 | Airtable | Trello |
|---|---|---|
| 強み | データベース・多様なビュー・リンク機能 | カンバン特化・シンプル・直感的 |
| 表示形式 | Grid・カンバン・カレンダー・ギャラリーなど | カンバン(ボード)がメイン |
| 向いている人 | データを多角的に見たい、複雑な管理が必要 | タスク管理をシンプルに始めたい |
選び方のポイント:
- とにかくシンプルにタスク管理したい → Trello
- タスクだけでなく、顧客情報や進捗データも含めて管理したい → Airtable
Airtableがハマる具体的なワークフロー例
ここからは、実際にAirtableを使うとどんな業務が効率化されるのか、具体例を2パターン紹介します。
パターン1:フリーランスの案件管理 + 顧客管理
フリーランスのデザイナーやライターの方が、案件と顧客情報を一元管理するケースです。
テーブル構成:
- 顧客テーブル:顧客名、会社名、メールアドレス、電話番号、住所など
- 案件テーブル:案件名、顧客(リンク)、ステータス(見積もり中/進行中/完了)、納期、金額、メモなど
ワークフロー:
- 新しい顧客からの問い合わせが来たら、「顧客テーブル」に顧客情報を登録
- 「案件テーブル」で新規レコード作成し、顧客リンクで紐づけ
- 案件ステータスを「見積もり中」に設定
- 受注したら「進行中」に変更、納期をカレンダービューで確認
- 納品完了したら「完了」に変更、請求書を添付ファイルでアップロード
メリット:
- 顧客情報を一度登録すれば、次回以降はリンクで選ぶだけ
- 「今月の売上」や「進行中の案件数」をフィルタやグループ化で瞬時に把握
- カレンダービューで納期を視覚的に管理
パターン2:小規模ECショップの在庫管理 + 受注管理
ハンドメイド作家やネットショップ運営者が、商品在庫と受注情報を管理するケースです。
テーブル構成:
- 商品テーブル:商品名、カテゴリ、在庫数、価格、商品画像など
- 受注テーブル:注文番号、顧客名、商品(リンク)、数量、注文日、発送ステータスなど
ワークフロー:
- 「商品テーブル」に販売商品を登録、在庫数を入力
- 注文が入ったら「受注テーブル」に記録、商品リンクで紐づけ
- 発送したら「発送済み」にステータス変更
- 在庫数が減ったら、「商品テーブル」で在庫数を更新(または、フォーミュラで自動計算)
メリット:
- 商品画像をギャラリービューで一覧表示できる
- 「在庫が5個以下の商品」をフィルタで抽出して、発注漏れを防ぐ
- カレンダービューで発送予定日を管理
まとめ:どんな人がAirtableを選ぶべきか
最後に、Airtableがおすすめな人・おすすめしない人を整理します。
Airtableがおすすめな人
- Excelやスプレッドシートでの管理に限界を感じている人:データの重複入力やコピペ作業から解放されたい方
- 顧客管理・案件管理・在庫管理など、データ同士を関連づけたい人:リンク機能が強力に活躍します
- 1つのデータを複数の見せ方(カレンダー・カンバン・ギャラリー)で見たい人:ビューの切り替えが直感的
- デザイン性の高いツールが好きな人:おしゃれなUIでモチベーションが上がります
- ノーコードで業務システムっぽいものを作りたい人:テンプレートを使えば、数時間でCRMやプロジェクト管理ツールが完成
- 外出先からもスマホで情報更新したい人:モバイルアプリが優秀
Airtableがあまり向いていない人
- 英語UIに抵抗がある人:日本語情報も少なめなので、学習コストがやや高い
- 無料でチーム全員に使わせたい人:複数人利用は有料プランが前提(Notionの方が向いています)
- ドキュメント作成もメインで使いたい人:議事録やマニュアル作成なら、Notionの方が適しています
- とにかくシンプルなタスク管理がしたい人:Trelloの方が導入しやすいです
- 複雑な計算やピボットテーブルがメインの人:表計算ならGoogleスプレッドシートの方が強力
最後に:まずはテンプレートから試してみよう
Airtableは、「データベースってなんか難しそう」と感じている方にこそ、ぜひ試してほしいツールです。無料プランで始められますし、テンプレートを使えばゼロから設計する必要もありません。
まずは公式テンプレートから、自分の業務に近いものを選んで触ってみてください。「こういう使い方もできるのか」という発見があるはずです。
もし「もっと自動化も含めて業務効率化したい」という場合は、NeuroStackの他の記事も参考にしてみてください。Airtableと相性の良いツールや、ワークフロー自動化のアイデアもたくさん紹介しています。
あなたのデータ管理が、もっとスマートに、もっと楽しくなりますように。