ClickUpレビュー|オールインワン型プロジェクト管理で何ができる?どんな人に向いているか

ClickUpレビュー - オールインワン型プロジェクト管理ツール

「タスクが散らばっていて管理が大変」「プロジェクトの進捗が見えにくい」「チームのコミュニケーションがスムーズじゃない」——そんな悩みを抱えている方は少なくないはずです。複数のツールを使い分けているうちに、どこに何があるのかわからなくなってしまう。そんな経験、ありませんか?

ClickUpは、タスク管理・プロジェクト管理・ドキュメント作成・目標設定・チャット機能など、業務に必要な機能をひとつのプラットフォームに集約した「オールインワン型」のプロジェクト管理ツールです。NotionやTrello、Asanaなど複数のツールを使っている方にとって、「これひとつで完結する」体験は非常に魅力的です。

この記事では、ClickUpがどんなツールで、どんな機能があって、どういう人に向いているのかを、実務での使い方をイメージしながらお伝えしていきます。

ClickUpの概要と基本情報

ClickUpは、2017年にアメリカで誕生したプロジェクト管理ツールです。「すべての業務を一か所で」をコンセプトに、タスク管理だけでなく、ドキュメント作成、チャット、時間管理、ゴール設定など、チームや個人が必要とする機能をオールインワンで提供しています。

代表的なユースケース

  • 小規模チームのプロジェクト管理:制作会社、スタートアップ、フリーランスチームなど
  • 個人のタスク・目標管理:副業、個人事業主、複数プロジェクトを抱える人
  • クライアントワークの進行管理:納期管理、タスクの依存関係、時間トラッキング
  • 社内業務の一元管理:営業、カスタマーサポート、マーケティング、開発チームなど

料金プラン(2025年時点)

ClickUpは無料プランから始められ、チームの規模や必要な機能に応じて段階的にアップグレードできます。

プラン 料金(月額/ユーザー) 主な機能
Free 無料 無制限タスク、100MBストレージ、リスト・ボードビュー、基本的なコラボレーション機能
Unlimited $7(約1,000円) 無制限ストレージ、ガントチャート、タイムライン、ゴール機能、カスタムフィールド
Business $12(約1,700円) Google SSO、タイムトラッキング、ダッシュボード、高度な自動化、チームシェアリング
Enterprise 要問い合わせ 専任サポート、高度なセキュリティ、カスタム権限、ホワイトラベル

AI機能のアドオン:有料プランには、ユーザーあたり月額$7(約1,000円)でAI機能を追加できます。タスクの自動要約、ドキュメント生成、スマート検索などが利用可能です。

対応環境

  • Webブラウザ:Windows、Mac対応
  • デスクトップアプリ:Windows、Mac、Linux
  • モバイルアプリ:iOS、Android
  • 日本語対応:UI・サポートドキュメントともに日本語化されています

主な機能とできること

ClickUpは多機能すぎて最初は戸惑うかもしれませんが、実務で使う主要な機能を整理してみましょう。

1. タスク管理とビュー機能

ClickUpの最大の特徴は、同じタスクを複数の「ビュー」で切り替えて表示できることです。

  • リストビュー:シンプルなタスク一覧。ToDoリストのように使える
  • ボードビュー:カンバン形式。Trelloのように「未着手」→「進行中」→「完了」でドラッグ&ドロップ
  • ガントチャート:タスクの期間や依存関係を可視化。納期管理が必要なプロジェクトに最適
  • カレンダービュー:タスクを日付ごとに表示。期限が見やすい
  • タイムラインビュー:プロジェクト全体のロードマップを俯瞰できる

実務での使い方例:制作会社が「Webサイトリニューアル」プロジェクトを進める場合、デザイナーはボードビューで作業を進め、ディレクターはガントチャートで全体の進捗を確認する——といった使い分けができます。

2. サブタスクと依存関係

大きなタスクを細かく分解して、サブタスクとして管理できます。また、タスク間の「依存関係」を設定することで、「タスクAが完了しないとタスクBが始められない」といった制約も表現できます。

実務での使い方例:「記事執筆」タスクに「構成作成」「初稿執筆」「編集」「公開」といったサブタスクを作り、前のタスクが完了してから次に進む流れを可視化できます。

3. ドキュメント機能(Docs)

ClickUpにはNotionのようなドキュメント作成機能が組み込まれています。議事録、仕様書、マニュアル、ブレストメモなどを作成し、タスクと紐付けて管理できます。

  • リアルタイム共同編集
  • テンプレート機能
  • タスクへの埋め込み
  • 見出し、チェックリスト、画像、動画の挿入

実務での使い方例:「クライアントA案件」のスペース内に「企画書ドキュメント」を作成し、そこから「デザイン制作」タスクを直接作成して紐付ける。タスクとドキュメントが行き来しやすくなります。

4. ゴール(目標管理)機能

ClickUpでは、タスクよりも上位の概念として「ゴール」を設定できます。複数のタスクやリストをゴールに紐付けることで、目標達成までの進捗を自動計算してくれます。

実務での使い方例:「今月のブログ記事10本公開」というゴールを設定し、記事ごとのタスクを紐付ける。完了したタスク数に応じて、ゴールの達成率が自動で更新されます。

5. タイムトラッキング

タスクごとに作業時間を記録できます。自分の稼働時間を把握したり、クライアントへの請求根拠にしたり、チームの工数管理にも使えます。

実務での使い方例:フリーランスのデザイナーが「ロゴ制作」タスクで作業時間を計測し、後でクライアントに「3時間稼働しました」と報告する際の証跡に使えます。

6. 自動化(Automations)

ClickUpにはZapierのような自動化機能が標準搭載されています。「タスクのステータスが変わったら担当者に通知」「期限が近づいたら優先度を変更」といったルールを設定できます。

実務での使い方例:「タスクが完了したら、次の担当者に自動でアサインする」設定にすることで、手動の引き継ぎ作業が不要になります。

7. チャット機能

タスクごとにコメントを残せるのはもちろん、ClickUp内でチャット(メッセージ)も可能です。SlackやChatworkを使わずに、ClickUp内でコミュニケーションを完結させることもできます。

実際に触ってわかったメリット

1. 複数ツールを統合できる「オールインワン感」が強い

Notionでドキュメントをまとめつつ、Trelloでタスクを管理して、Slackでチャットして、Togglで時間計測して……という状態を、ClickUpひとつで置き換えられる可能性があります。

特に小規模チームやフリーランスにとって、ツールの切り替えが減ることは大きなメリットです。「あの情報、どこに保存したっけ?」という迷子状態が起きにくくなります。

2. ビューの切り替えでチームの多様な働き方に対応できる

デザイナーは「ボードビュー」でカンバン的に作業し、ディレクターは「ガントチャート」でスケジュールを確認し、経営者は「ダッシュボード」で全体の進捗を俯瞰する——同じデータを異なる視点で見られるのは、ClickUpならではの強みです。

Trelloだとボードしかなく、Notionだとガントチャートが弱いですが、ClickUpはその両方をカバーしています。

3. 無料プランでも基本機能が十分に使える

ClickUpの無料プランは、タスク数が無制限で、リストビュー・ボードビューも使えます。ストレージが100MBと少なめですが、個人やごく小規模なチームなら無料でも十分に試せます。

有料プランへのアップグレードが必要になるのは、ガントチャートや自動化、ゴール機能を本格的に使いたくなったタイミングです。

4. カスタマイズ性が高い

ClickUpは、カスタムフィールドを使ってタスクに独自の項目を追加できます。たとえば「予算」「クライアント名」「優先度スコア」「進捗率」など、自分のワークフローに合わせてフィールドを作れます。

また、フォルダ・リスト・タスクという階層構造を自由に設計できるため、組織や案件ごとに最適な管理方法を構築できます。

5. AI機能で作業が効率化される

2025年時点で、ClickUpにはAI機能(ClickUp Brain)が追加されています。タスクの説明文を自動生成したり、長いスレッドを要約したり、関連情報を検索したりといった補助をしてくれます。

特に「タスクの概要を書くのが面倒」という人にとって、AIが下書きを作ってくれるのは大きな助けになります。

気になった点・注意しておきたいポイント

1. 多機能すぎて最初は迷う

ClickUpは機能が豊富すぎて、初めて使う人は圧倒されるかもしれません。どのビューを使えばいいのか、どこにどの機能があるのか、設定項目が多すぎて混乱することがあります。

「シンプルなタスク管理だけで十分」という人にとっては、TrelloやTodoistのほうが直感的で使いやすいかもしれません。

2. 動作が重く感じることがある

ClickUpはWebベースのツールですが、タスク数やビューが増えてくると読み込みが遅く感じることがあります。特に大量のタスクをガントチャートで表示すると、ブラウザが重くなることも。

デスクトップアプリを使うか、定期的にアーカイブして整理する習慣が必要です。

3. 日本語の情報がまだ少ない

UIは日本語化されていますが、公式ドキュメントや解説動画は英語が中心です。日本語のユーザーコミュニティもまだ小さいため、トラブルシューティングで詰まったときに情報が見つけにくいことがあります。

英語に抵抗がない方なら問題ありませんが、日本語サポートを重視する方は注意が必要です。

4. チーム全員が使いこなすまでに時間がかかる

ClickUpは自由度が高い分、チームで運用ルールを決めないとカオスになりがちです。「どのビューを使うか」「タスクの粒度はどうするか」「フォルダ構成はどうするか」などを事前に決めておかないと、各自が好き勝手に使って収拾がつかなくなります。

導入時には、チーム内で使い方のガイドラインを作ることをおすすめします。

5. 無料プランではストレージが限られる

無料プランのストレージは100MBと少なめです。ドキュメントや画像を多用すると、すぐに容量オーバーになります。本格的に使うなら、Unlimitedプラン(月額$7/ユーザー)へのアップグレードを検討したほうがよいでしょう。

類似ツールとの比較

ClickUpと比較されることが多いツールをいくつか見てみましょう。

ClickUp vs Notion

Notionは、ドキュメント作成とデータベース管理が得意なオールインワンツールです。

  • Notionが向いている人:ドキュメント中心で情報を整理したい。デザイン性や柔軟性を重視する。個人〜小規模チーム
  • ClickUpが向いている人:タスク管理とプロジェクト進行が中心。ガントチャートやタイムトラッキングを使いたい。チーム規模が大きい

まとめ:Notionは「ナレッジベース」として優秀で、ClickUpは「プロジェクト管理ツール」として優秀です。ドキュメント重視ならNotion、タスク管理重視ならClickUpを選ぶとよいでしょう。

ClickUp vs Trello

Trelloは、カンバン形式のシンプルなタスク管理ツールです。

  • Trelloが向いている人:シンプルで直感的なツールが好き。ボード形式で視覚的に管理したい。学習コストをかけたくない
  • ClickUpが向いている人:複数のビューを使い分けたい。サブタスクや依存関係、ゴール管理など高度な機能が必要

まとめ:Trelloは「軽量でシンプル」、ClickUpは「多機能で拡張性が高い」です。小規模でシンプルに使いたいならTrello、本格的に管理したいならClickUpです。

ClickUp vs Asana

Asanaは、プロジェクト管理に特化したツールで、エンタープライズ向けの機能も充実しています。

  • Asanaが向いている人:大規模チーム。エンタープライズレベルのセキュリティやサポートが必要。UIがシンプルで洗練されている
  • ClickUpが向いている人:中小規模チーム。カスタマイズ性を重視。コストを抑えたい

まとめ:Asanaは「洗練されたプロジェクト管理ツール」、ClickUpは「カスタマイズ性の高いオールインワンツール」です。大企業ならAsana、柔軟性を求めるならClickUpが有力です。

ClickUp vs Monday.com

Monday.comは、視覚的に美しいプロジェクト管理ツールで、ノーコードの自動化が得意です。

  • Monday.comが向いている人:視覚的でカラフルなUIが好き。ノーコードで自動化を組みたい。営業・マーケティングチーム
  • ClickUpが向いている人:コストを抑えたい。ドキュメント機能も使いたい。開発・制作チーム

まとめ:Monday.comは「視覚的でわかりやすい」、ClickUpは「多機能でコスパがいい」です。デザイン重視ならMonday.com、機能重視ならClickUpです。

ClickUpがハマる具体的なワークフロー例

ワークフロー例1:フリーランスライターの案件管理

フリーランスのライターが、複数のクライアントから案件を受けている場合の管理方法です。

  1. スペース作成:クライアントごとにスペースを作成(例:「クライアントA」「クライアントB」)
  2. リスト作成:各スペース内に「企画中」「執筆中」「編集中」「納品済み」のリストを作成
  3. タスク作成:記事ごとにタスクを作成し、期限・優先度・カスタムフィールド(文字数、報酬など)を設定
  4. タイムトラッキング:執筆中はタイマーをスタートして、実際の作業時間を記録
  5. ゴール設定:「今月10本納品」といったゴールを設定し、達成率を可視化
  6. ドキュメント活用:取材メモや構成案をDocsに保存し、タスクに紐付ける

メリット:案件ごとの進捗が一目でわかり、どのクライアントに時間を使ったかも把握できる。報酬や納期も一元管理できるので、スケジュール調整がしやすくなります。

ワークフロー例2:制作会社のWebサイトリニューアルプロジェクト

制作会社が、クライアントのWebサイトリニューアルを進める場合のワークフローです。

  1. フォルダ作成:「クライアントXサイトリニューアル」フォルダを作成
  2. リスト分割:「企画」「デザイン」「開発」「テスト」「公開」のリストを作成
  3. タスクと依存関係:各リスト内にタスクを作成し、「デザイン完了後に開発開始」といった依存関係を設定
  4. ガントチャート:ディレクターはガントチャートで全体のスケジュールを確認
  5. ボードビュー:デザイナーはボードビューで「未着手」→「作業中」→「レビュー待ち」→「完了」と進める
  6. チャット機能:タスクごとにコメントでフィードバックをやり取り
  7. ドキュメント:要件定義書や仕様書をDocsに保存し、関連タスクに紐付け

メリット:チーム全員が同じプラットフォームで作業でき、進捗の透明性が高まります。依存関係を設定することで、「次に誰が何をすべきか」が明確になり、手戻りが減ります。

まとめ:どんな人がClickUpを選ぶべきか

ClickUpがおすすめな人

  • 複数のツールを統合したい人:タスク管理、ドキュメント、チャット、時間管理を一か所で済ませたい
  • プロジェクトの進捗を可視化したい人:ガントチャート、タイムライン、ダッシュボードで全体を俯瞰したい
  • 小〜中規模のチーム:5〜50人程度のチームで、柔軟にカスタマイズしながら運用したい
  • フリーランスや個人事業主:複数案件を並行管理し、時間や報酬も記録したい
  • カスタマイズ性を重視する人:独自のワークフローに合わせてツールを設定したい
  • コスパを重視する人:無料プランから始められて、有料プランも比較的安価

ClickUpをおすすめしない人

  • シンプルなツールが好きな人:多機能すぎて混乱する。TrelloやTodoistのほうが直感的
  • ドキュメント作成がメイン:Notionのほうがドキュメント機能が洗練されている
  • 大企業で厳格なセキュリティが必要:AsanaやMonday.comのほうがエンタープライズ向け機能が充実
  • 日本語サポートを重視する人:公式ドキュメントが英語中心で、日本語情報が少ない
  • ITツールに不慣れなチーム:学習コストが高く、全員が使いこなすまでに時間がかかる

最後に

ClickUpは、「オールインワン」を本気で目指している数少ないツールのひとつです。複数のツールを行き来する煩雑さから解放され、ひとつのプラットフォームで業務を完結できる体験は、慣れれば非常に快適です。

ただし、多機能であるがゆえに「使いこなせるか」がポイントになります。まずは無料プランで試してみて、自分やチームのワークフローに合うかどうかを確認してから、有料プランへのアップグレードを検討するのがおすすめです。

もしあなたが「タスクが散らばっていて管理しきれない」「NotionとTrelloを併用しているけど、もっとスマートに統合したい」と感じているなら、ClickUpは試してみる価値のあるツールです。