「見込み客との商談履歴がバラバラで、フォローアップのタイミングを逃してしまう」「メールマーケティングを始めたいけれど、どのツールを使えばいいかわからない」「営業とマーケティングの情報が分断されていて、顧客の全体像が見えない」——こうした悩みを抱えている個人事業主や小規模チームの方は少なくありません。
HubSpot(ハブスポット)は、CRM(顧客管理)を中心に、マーケティング、営業、カスタマーサービスの機能を一元管理できるオールインワン型のプラットフォームです。無料プランから始められる手軽さと、必要に応じて段階的に機能を追加できる柔軟性が特徴で、世界約120カ国、数万社以上に導入されています。
この記事では、HubSpotの基本的な機能から実際に使ってわかったメリット・デメリット、どんな人に向いているのかまで、3分で判断できるようにまとめました。CRMやマーケティングツールの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
HubSpotの概要と基本情報
どんなカテゴリのツールか
HubSpotは、CRM(顧客関係管理)を基盤に、以下の機能を統合したオールインワン型ビジネスプラットフォームです。
- CRM(顧客管理):顧客情報、商談履歴、コンタクト管理
- Marketing Hub:メールマーケティング、ランディングページ作成、リード管理
- Sales Hub:営業活動の管理、メール追跡、ミーティング予約
- Service Hub:カスタマーサポート、チケット管理、ナレッジベース
- CMS Hub:Webサイト・ブログ構築
- Operations Hub:データ連携、自動化ワークフロー
それぞれのHub(機能群)を必要に応じて組み合わせられるため、「まずはCRMだけ使って、慣れてきたらマーケティング機能を追加」といった段階的な導入が可能です。
代表的なユースケース
HubSpotは幅広い業種・規模の企業で活用されていますが、特に以下のようなシーンで威力を発揮します。
- 見込み客の一元管理:Webサイトの問い合わせフォーム、メール、SNSなど複数チャネルからの情報を自動で集約
- メールマーケティングの自動化:セグメント別に最適なタイミングでメールを配信し、開封率やクリック率を可視化
- 営業活動の効率化:商談の進捗状況をパイプライン形式で管理し、フォローアップ漏れを防止
- カスタマーサポートの一元化:問い合わせチケットの管理やナレッジベースの構築で対応品質を向上
- マーケティングと営業の連携:リードの行動履歴を営業チームと共有し、最適なタイミングでアプローチ
料金・対応言語・提供形態
料金プラン(2025年最新情報)
HubSpotは2025年に料金体系が改善され、より透明性の高い構造になりました。以下は主なプランの目安です。
| プラン | 月額料金(税抜・年払い想定) | 主な機能 |
|---|---|---|
| 無料プラン | 0円 | CRM基本機能、メールマーケティング(月2,000通まで)、フォーム作成、最大5ユーザー |
| Starter | 約2万円〜/月 | Marketing Hub、Sales Hubの基本機能、メール配信上限拡大、レポート機能 |
| Professional | 約10万円〜/月 | マーケティングオートメーション、ABテスト、高度なレポート、ワークフロー自動化 |
| Enterprise | 約40万円〜/月 | 高度なカスタマイズ、AIアシスタント、専任サポート、階層構造のチーム管理 |
| Customer Platform(旧CRM Suite) | Starterは約4万円〜/月 | マーケティング・営業・サービス機能を統合したお得なパッケージ |
※料金はシート数(ユーザー数)やコンタクト数により変動します。複数のHubを利用する場合は、Customer Platformの方が割安になるケースが多いです。
対応言語
日本語を含む多言語対応。管理画面も日本語化されており、サポートも日本語で受けられます。
提供形態
クラウド型(SaaS)のため、Webブラウザからアクセス可能。iOS・Android向けのモバイルアプリも提供されており、外出先からでも顧客情報の確認や商談の更新ができます。
主な機能とできること
HubSpotは機能が豊富なため、全てを使いこなすのは大変です。ここでは、特に実務で使いやすい機能をピックアップし、「実際にこう使う」という具体例とともに紹介します。
CRM(顧客管理)
- コンタクト・企業の一元管理:名刺情報、メールのやり取り、Webサイト訪問履歴などを自動で記録
- 取引パイプライン管理:「見込み」「商談中」「成約」などのステージをドラッグ&ドロップで管理
- タスク・リマインダー:「3日後にフォローメールを送る」といったタスクを設定し、漏れを防止
実務での使い方例:問い合わせフォームから来た見込み客の情報が自動でCRMに登録され、担当者にアサイン。その後のメールのやり取りも全て記録されるため、「誰が、いつ、何を話したか」がチーム全体で共有できます。
Marketing Hub(マーケティング機能)
- メールマーケティング:ドラッグ&ドロップのエディタで簡単にメールを作成。開封率、クリック率をリアルタイムで分析
- ランディングページ・フォーム作成:コーディング不要でリード獲得用のページを作成
- リードスコアリング:Webサイトの訪問回数やメール開封状況に応じて、見込み客の「ホット度」を自動評価
- ワークフロー自動化:「資料ダウンロード後、3日後にフォローメールを自動送信」といったシナリオを設定
実務での使い方例:セミナー参加者に対して、終了後すぐに「ありがとうメール」を自動配信。その後、開封した人にだけ個別のフォローメールを送ることで、効率的にリードナーチャリングできます。
Sales Hub(営業支援機能)
- メール追跡:送ったメールが開封されたか、リンクがクリックされたかをリアルタイムで通知
- ミーティング予約:Calendlyのように、自分のカレンダーと連携して空き時間を共有し、相手が予約できる仕組み
- ドキュメント管理:提案書や見積書をアップロードし、誰がいつ開いたかを追跡
- セールスオートメーション:商談が特定のステージに進んだら、上長に自動通知するなどのワークフロー設定
実務での使い方例:見積書をPDFでアップロードし、メールで送付。相手が開いたタイミングで通知が来るため、「今、見てくれたな」というタイミングで電話フォローができます。
Service Hub(カスタマーサポート機能)
- チケット管理:問い合わせを「新規」「対応中」「完了」などのステータスで管理
- ナレッジベース:FAQやマニュアルを作成し、顧客が自己解決できる仕組みを構築
- 顧客満足度調査:サポート対応後に自動でアンケートを送信し、フィードバックを収集
実務での使い方例:問い合わせメールが自動でチケット化され、担当者にアサイン。対応履歴がCRMに記録されるため、別の担当者が引き継いでも経緯がすぐわかります。
Operations Hub(データ連携・自動化)
- データ同期:他のツール(Salesforce、Shopifyなど)とデータを双方向で同期
- カスタムプロパティ:自社独自のデータ項目を追加し、柔軟にカスタマイズ
- データクリーニング:重複データの自動検出・統合
実務での使い方例:ECサイト(Shopify)の購入データをHubSpotに自動同期し、購入履歴に応じたパーソナライズドメールを配信。
実際に触ってわかったメリット
無料プランでも十分使える機能の充実度
HubSpotの最大の魅力は、無料プランでも実用的なCRM機能が使える点です。他のCRMツールでは「無料プランは期間限定」「機能が大幅に制限される」ことが多いですが、HubSpotは無料プランで以下が使えます。
- 顧客情報100万件まで登録可能
- 最大5ユーザーまで利用可能
- メールマーケティング(月2,000通まで)
- フォーム作成、ランディングページ作成
- 基本的なレポート機能
どんな人にメリットか:「まずはCRMを試してみたい」という個人事業主や小規模チーム。初期投資ゼロでスタートできるため、リスクなく導入できます。
マーケティング・営業・サポートのデータが一箇所に集まる
多くの企業では、マーケティングチームはメール配信ツール、営業チームはExcelやSFA、サポートチームは別の問い合わせ管理ツール……と、情報が分断されがちです。HubSpotはこれらを全て一つのプラットフォームで管理できるため、顧客の全体像が見えやすくなります。
たとえば、営業担当者が商談前に「この見込み客は過去にどのメールを開封したか」「どのブログ記事を読んだか」を確認できるため、より的確な提案が可能になります。
どんな人にメリットか:マーケティングと営業が連携して成果を出したいBtoB企業、または複数の部門で顧客情報を共有したい中小企業。
直感的な操作性とノーコードでできる自動化
HubSpotの管理画面は、ドラッグ&ドロップ操作が中心で、専門知識がなくても使いやすい設計です。たとえば、ワークフロー(自動化シナリオ)を作る際も、「トリガー(きっかけ)」→「条件分岐」→「アクション(実行内容)」をビジュアルに組み立てられます。
また、メールエディタやランディングページ作成もテンプレートが豊富で、デザインスキルがなくてもプロっぽい仕上がりになります。
どんな人にメリットか:「自動化ツールを使ってみたいけれど、プログラミングはできない」という非エンジニアのマーケター、営業担当者。
Zapierなど外部ツールとの連携が豊富
HubSpotは1,500以上のアプリと連携可能です。特にZapier、Slack、Googleワークスペース、Shopify、Salesforceなど、主要なビジネスツールとはAPI連携が充実しており、データの二重入力を防げます。
たとえば、「Slackで特定のチャンネルに投稿があったら、HubSpotのタスクを自動作成」といった連携も可能です。
どんな人にメリットか:すでに複数のSaaSツールを使っており、それらを統合して効率化したい人。NeuroStackの読者なら、Zapierとの連携は特に相性が良いでしょう。
豊富な学習リソースとコミュニティ
HubSpotは公式の無料学習プラットフォーム「HubSpot Academy」を提供しており、マーケティング、営業、CRMの基礎から応用まで動画で学べます。認定資格も取得できるため、スキルアップにもつながります。
また、日本語のユーザーコミュニティやサポートフォーラムも活発で、困ったときに情報を探しやすい環境が整っています。
どんな人にメリットか:「ツールを導入するだけでなく、マーケティングや営業のスキルも同時に身につけたい」という学習意欲の高い人。
気になった点・注意しておきたいポイント
有料プランになると料金が急に高くなる
無料プランは非常に充実していますが、有料プランに移行すると月数万円〜数十万円のコストがかかります。特に、マーケティングオートメーションやABテストなどの高度な機能を使いたい場合はProfessionalプラン以上が必要で、小規模事業者にとっては負担が大きいかもしれません。
また、2024年3月以降、シート単位(ユーザー単位)の課金体系が導入されたため、チームが大きくなるほど料金が上がる点にも注意が必要です。
こういう人には合わないかも:予算が限られている個人事業主やスタートアップで、無料プランの範囲を超える機能がすぐに必要な場合。その場合、まずは無料プランで運用し、成果が出てから有料プランに移行する段階的なアプローチがおすすめです。
機能が多すぎて、最初は使いこなすのが大変
HubSpotは「オールインワン」が強みですが、逆に機能が多すぎて、どこから手をつけていいかわからないという声もよく聞きます。特に、マーケティングや営業の自動化に慣れていない人にとっては、学習コストがそれなりにかかります。
こういう人には合わないかも:「とにかくシンプルで、すぐに使い始めたい」という人。その場合、TrelloやNotionのような単機能ツールから始める方が向いているかもしれません。
日本語対応は充実しているが、一部英語のままの機能も
管理画面やサポートは日本語対応していますが、最新機能や一部のドキュメントは英語のみということもあります。また、テンプレートやサンプルデータが英語圏向けに作られているため、日本のビジネス文化に合わせてカスタマイズする必要がある場合もあります。
こういう人には合わないかも:英語に抵抗がある人、または完全に日本語でサポートされたツールを求めている人。
無料プランではブランディングが入る
無料プランで作成したランディングページやメールには、「Powered by HubSpot」というブランディングが表示されます。有料プランにアップグレードすれば削除できますが、クライアント向けの資料などで使う場合は気になるかもしれません。
こういう人には合わないかも:完全に自社ブランドでマーケティング施策を展開したい企業。
類似ツールとの比較
CRMやマーケティングオートメーションのツールは数多くありますが、HubSpotと比較されることが多いツールを3つ紹介します。
Salesforce
特徴:世界最大手のCRMプラットフォーム。エンタープライズ向けの高度なカスタマイズが可能。
HubSpotとの違い:
- Salesforceは大企業向けで、初期設定や運用に専門知識が必要
- HubSpotは中小企業やスタートアップ向けで、初心者でも使いやすい
- Salesforceは料金が高く、導入コストもかかる
おすすめの使い分け:
- 大企業、複雑な業務プロセスがある企業 → Salesforce
- 小〜中規模企業、手軽に始めたい → HubSpot
Zoho CRM
特徴:低価格で多機能なCRM。日本語サポートも充実。
HubSpotとの違い:
- Zoho CRMは有料プランでも比較的安価(月1,500円〜)
- HubSpotは無料プランが充実しているが、有料プランは高額
- HubSpotの方がマーケティング機能(ランディングページ、メールマーケティング)が強い
おすすめの使い分け:
- 予算重視、営業管理がメイン → Zoho CRM
- マーケティングと営業を統合したい → HubSpot
Marketo(Adobe Marketo Engage)
特徴:BtoB向けの高度なマーケティングオートメーションツール。
HubSpotとの違い:
- Marketoはマーケティング専門で、CRMやセールス機能は別途連携が必要
- HubSpotはCRM、マーケティング、営業が一体化
- Marketoは大企業向けで、導入ハードルが高い
おすすめの使い分け:
- 大規模なマーケティングキャンペーンを展開する企業 → Marketo
- マーケティング・営業・サポートを一元管理したい → HubSpot
HubSpotがハマる具体的なワークフロー例
パターン1:Webサイトからの問い合わせを自動フォローする
- Webサイトに問い合わせフォームを設置(HubSpotのフォーム機能を使用)
- フォーム送信と同時に、自動返信メールを送信(「お問い合わせありがとうございます」)
- HubSpot CRMに顧客情報が自動登録され、担当者にアサイン
- 3日後、フォローメールを自動送信(ワークフロー機能で設定)
- 担当者がメール開封を確認し、電話でフォロー
- 商談ステータスを「見込み」→「商談中」に更新
このワークフローにより、問い合わせ対応の漏れがなくなり、フォローアップの精度が上がります。
パターン2:メールマーケティングで見込み客を育成する
- セミナー参加者リストをHubSpotにインポート
- セミナー終了後、感謝メールを一斉送信
- メールを開封した人にのみ、3日後に事例資料を送信(条件分岐のワークフロー)
- 資料をダウンロードした人を「ホットリード」としてスコアリング
- 営業チームに通知が飛び、個別にアプローチ
このワークフローにより、興味度の高い見込み客に絞って営業リソースを投下でき、成約率が向上します。
まとめ:どんな人がHubSpotを選ぶべきか
おすすめな人
- 無料でCRMを試してみたい個人事業主・小規模チーム:無料プランでも実用的な機能が揃っている
- マーケティングと営業の情報を一元管理したいBtoB企業:顧客の行動履歴が全て可視化される
- ノーコードで自動化を実現したい非エンジニア:ドラッグ&ドロップで直感的に操作できる
- 段階的に機能を追加していきたい成長企業:無料→Starter→Professionalと柔軟にスケール可能
- マーケティング・営業スキルも同時に学びたい人:HubSpot Academyで無料学習できる
おすすめしない人
- すぐに高度な機能が必要で、予算が限られている人:有料プランは高額なため、まずは無料プランで試すのが賢明
- とにかくシンプルなツールが欲しい人:機能が多すぎて、使いこなすまでに時間がかかる
- 完全に日本語対応したツールを求める人:最新機能は英語のみの場合がある
- オフラインの営業活動がメインで、デジタルマーケティングをあまり重視しない企業:HubSpotの強みを活かしきれない可能性がある
最初の一歩として
HubSpotは、無料プランから始められる手軽さと、必要に応じて段階的に拡張できる柔軟性が最大の魅力です。「CRMやマーケティングツールを導入したいけれど、いきなり高額なツールには手を出しにくい」という方は、まず無料プランで顧客管理とメールマーケティングを試してみることをおすすめします。
実際に使ってみて、「もっと自動化を進めたい」「営業チームとの連携を強化したい」と感じたタイミングで有料プランを検討すれば、リスクを抑えながら最適なツールを選べるはずです。
また、HubSpotの効果を最大化するには、ZapierやSlackなどの他のツールとの連携も重要です。NeuroStackでは、他のワークフロー自動化ツールやマーケティングツールのレビューも多数掲載していますので、ぜひ合わせてご覧ください。