「タスク管理ツールが重くて、管理することに時間を取られている」「Jiraは高機能だけど複雑すぎて、チームが使いこなせない」「開発に集中したいのに、プロジェクト管理の手間で本来の作業が進まない」——こんな悩みを抱えている方は少なくないのではないでしょうか。
今回ご紹介するLinearは、「ソフトウェアに魔法を取り戻す」というスローガンを掲げる、エンジニアチーム特化型のプロジェクト管理ツールです。50ミリ秒以内の応答速度を実現した高速なUIと、GitHubやSlackとのシームレスな連携により、管理の手間を最小化しながら開発に集中できる環境を提供してくれます。
この記事では、Linearの機能や実際の使用感、メリット・デメリット、そして「どんな人に向いているか」を詳しく解説していきます。
Linearの概要と基本情報
Linearは、ソフトウェア開発チーム向けに設計されたプロジェクト管理・イシュートラッキングツールです。JiraやAsanaと同じカテゴリのツールですが、「シンプルさ」と「スピード」に特化している点が大きな特徴です。
どんなカテゴリのツールか
- イシュートラッキング:バグ報告、機能リクエスト、タスクなどをIssue(イシュー)として管理
- プロジェクト管理:スプリント(Cycles)やロードマップで開発計画を可視化
- チームコラボレーション:外部ツールとの連携でシームレスなワークフローを実現
代表的なユースケース
- ソフトウェア開発チームのタスク管理
- バグトラッキングと優先度管理
- スプリント計画と進捗管理
- プロダクトロードマップの作成と共有
- GitHub連携による開発フローの自動化
- Slackからの簡単なIssue作成
料金・対応言語・提供形態
Linearは、2025年1月現在、以下の料金プランを提供しています。
| プラン | 料金(月額) | 主な機能 |
|---|---|---|
| Free | 無料 | 250 issues、1プロジェクト、基本機能 |
| Standard | $8/ユーザー | 無制限issues、ゲストアカウント、高度な検索 |
| Plus | $14/ユーザー | セキュリティ強化、カスタムロール、優先サポート |
| Enterprise | 要相談 | 専用オンボーディング、カスタムSLA、SAML認証 |
※日本円換算で、Standardプランは約1,200円/ユーザー、Plusプランは約2,100円/ユーザー程度です(為替レート変動により異なります)。
対応言語:主に英語UI(日本語ドキュメントは限定的)
提供形態:Webアプリ、デスクトップアプリ(Mac、Windows)、モバイルアプリ(iOS、Android)
Linearの主な機能とできること
Linearには、開発チームの生産性を高めるための機能が豊富に用意されています。ここでは、実務での使い方をイメージしながら主要機能を紹介します。
1. 高速なIssue管理
Linearの最大の特徴は、その圧倒的な速度です。50ミリ秒以内の応答速度により、Issueの作成・編集・検索がストレスなく行えます。
実務での使い方:バグ報告や機能リクエストをSlackで受けたとき、スラッシュコマンド(/linear)やリアクションスタンプ一つでIssueを起票できます。わざわざLinearの画面を開く必要がないため、開発の流れを止めずにタスクを記録できます。
2. Cycles(サイクル)によるスプリント管理
Cyclesは、1〜4週間の開発サイクルを設定してタスクをまとめる機能です。アジャイル開発のスプリントに相当し、期間ごとの進捗を可視化できます。
実務での使い方:2週間スプリントで開発している場合、今週と来週のタスクをCycleにまとめておくことで、「今やるべきこと」が明確になります。チームメンバー全員が同じゴールを共有でき、スプリントレビューもスムーズに進みます。
3. Roadmaps(ロードマップ)
複数のプロジェクトやマイルストーンを時系列で管理し、プロダクト全体の計画を可視化します。
実務での使い方:四半期ごとの開発計画を立てるとき、「Q1: ユーザー認証機能」「Q2: 決済機能」といった大きなマイルストーンをロードマップに配置します。経営層やプロダクトマネージャーに開発状況を共有する際にも、視覚的でわかりやすい資料になります。
4. GitHub連携
LinearとGitHubを連携すると、ブランチ作成、プルリクエスト、マージといった開発フローとIssueが自動的に紐づきます。
実務での使い方:Issueから直接GitHubブランチを作成し、プルリクエストをマージすると自動的にIssueがクローズされます。手動でステータスを更新する手間が省け、開発フローと管理が一体化します。
5. Slack連携
Slackから直接Issueを作成したり、Issueの更新通知を受け取ったりできます。
実務での使い方:チャットで「このバグ対応してほしい」と依頼されたとき、そのメッセージにリアクションスタンプをつけるだけでLinearにIssueが作成されます。CSチームからの問い合わせも、Slackベースで簡単にタスク化できるため、情報の抜け漏れがなくなります。
6. Triage(トリアージ)機能
チーム外からのリクエストや報告を一時的に受け止め、チームメンバーがレビューしてからIssue化できる機能です。
実務での使い方:営業やCSチームから「これ対応してほしい」とバラバラに依頼が来るとき、Triageに一旦集約します。毎朝10分でチームメンバーがレビューし、優先度をつけてIssue化すれば、「これなんだっけ?」という無駄なやりとりを削減できます。
7. Projects(プロジェクト)とProject Updates
複数のIssueをプロジェクトとしてまとめ、進捗状況を定期的にアップデートできます。
実務での使い方:「新規会員登録機能」というプロジェクトに関連するIssueを紐づけ、週次でステータスを更新。ステークホルダーに自動通知されるため、わざわざ進捗報告のミーティングを開く必要がなくなります。
8. ドキュメント機能
Notionライクなリアルタイムマルチプレイヤードキュメント(Quinn Documents)で、仕様書や設計書を記述できます。
実務での使い方:新機能の仕様をチームで議論するとき、Linearのドキュメントに書き込みながらリアルタイムで意見交換。そのままIssueとリンクさせることで、仕様と実装タスクが分断されません。
実際に触ってわかったメリット
実際にLinearを使ってみると、他のプロジェクト管理ツールにはない魅力がたくさんあります。ここでは、特に際立ったメリットを紹介します。
1. 圧倒的な操作速度で「管理疲れ」がなくなる
Linearを使って最初に驚くのが、そのレスポンスの速さです。Issueの作成、検索、フィルタリングがほぼ瞬時に完了します。他のツールでは「読み込み中…」と待たされることが多いですが、Linearではそのストレスがありません。
こんな人にメリット:タスク管理ツールの動作が遅くてイライラしている人、開発に集中したいエンジニア
2. GitHub連携で開発フローが自動化される
GitHub連携を設定すると、プルリクエストとIssueが自動的に紐づき、マージと同時にIssueがクローズされます。開発フローと管理が一体化するため、手動でステータス更新する手間が不要です。
こんな人にメリット:GitHubを使った開発チーム、手動のステータス更新を忘れがちな人
3. Slackとの連携で情報がバラバラにならない
SlackでのやりとりをそのままIssue化できるため、「あの話、どこで議論したっけ?」という情報の散逸がなくなります。スタンプ一つでタスク化できる手軽さも魅力です。
こんな人にメリット:Slackメインでコミュニケーションしているチーム、CSやサポートからの依頼を効率的にタスク化したい人
4. シンプルなUIで学習コストが低い
Jiraのような多機能ツールは、設定項目が多すぎて新メンバーが慣れるまで時間がかかります。一方、Linearはシンプルで直感的なUIのため、初日から使いこなせる設計になっています。
こんな人にメリット:小規模〜中規模のチーム、新しいツールに慣れるのが苦手な人、複雑な設定を避けたい人
5. Triage機能でチーム外からの依頼を整理できる
CSチームや営業からバラバラに依頼が飛んでくると、対応漏れや重複作業が発生しがちです。Triage機能を使えば、一旦受け止めてからチームでレビューし、優先度をつけて対応できます。
こんな人にメリット:チーム外からのリクエストが多い開発チーム、タスクの優先度管理に悩んでいる人
気になった点・注意しておきたいポイント
Linearは非常に優れたツールですが、万能ではありません。導入前に知っておくべき注意点をまとめます。
1. 日本語対応が限定的
LinearのUIは主に英語で、日本語ドキュメントもまだ少ないのが現状です。英語に抵抗がある場合、最初は戸惑うかもしれません。ただし、UIはシンプルなので、ある程度英語に慣れていればそれほど問題にはならないでしょう。
こういう人には合わないかも:英語に強い苦手意識がある人、日本語サポートが必須のチーム
2. 料金が従量課金制(ユーザー数ベース)
Linearはユーザー数に応じた従量課金のため、チームが大きくなるとコストが膨らみます。Standardプランで10人なら月額$80(約12,000円)、20人なら月額$160(約24,000円)です。ClickUpやTrelloのような無料プランでも多機能なツールと比べると、コスト面では高めです。
こういう人には合わないかも:予算が限られている小規模チーム、無料プランで広く使いたい場合
3. エンジニア特化型で、非技術職には向かない可能性
Linearは開発チーム向けに最適化されているため、マーケティングや営業といった非技術部門が使うには少し使いづらいかもしれません。GitHub連携やAPI設計など、エンジニアリング前提の機能が多いためです。
こういう人には合わないかも:非技術職が中心のチーム、全社的に統一したプロジェクト管理ツールを導入したい場合
4. カスタマイズ性が低め
Jiraのように細かいワークフローやカスタムフィールドを設定することはできません。シンプルさと引き換えに、柔軟性は限定的です。複雑な承認フローや多段階のステータス管理が必要な場合は物足りないかもしれません。
こういう人には合わないかも:高度にカスタマイズされたワークフローが必要な大企業、複雑な承認プロセスを管理したい場合
5. Notion連携のインポート機能が未対応
既存のタスク管理ツールからの移行を考えている場合、JiraやAsanaからのインポートは可能ですが、Notionからの直接インポートは非対応です。Notionでタスク管理していた場合、手動でデータを移行する手間がかかります。
こういう人には合わないかも:Notionから移行を検討している人
類似ツールとの比較
Linearと似たツールはいくつかありますが、それぞれ特徴が異なります。読者タイプ別におすすめを提案します。
Linear vs. Jira
Jira:エンタープライズ向けの高機能プロジェクト管理ツール。カスタマイズ性が非常に高く、複雑なワークフローにも対応。一方、UIが複雑で動作が重い。
Linear:シンプルで高速。GitHub連携がスムーズで、エンジニアが使いやすい。カスタマイズ性はJiraより低い。
どう選ぶ?
- Jiraがおすすめ:大企業で複雑なワークフローが必要、既存のJira運用に慣れているチーム
- Linearがおすすめ:小〜中規模のエンジニアチーム、シンプルで高速なツールを求める人
(参考記事:当サイトのJiraレビュー記事は現在準備中です)
Linear vs. Asana
Asana:幅広い業種・職種に対応した汎用プロジェクト管理ツール。タスク、プロジェクト、ポートフォリオの3層構造で管理。非技術職でも使いやすい。
Linear:開発チーム特化。GitHub連携やTriage機能など、エンジニアリング向けの機能が充実。
どう選ぶ?
- Asanaがおすすめ:マーケティング、営業、バックオフィスなど全社で統一したツールを使いたい場合
- Linearがおすすめ:開発チーム専用のツールが欲しい、GitHubベースの開発フローを重視する場合
(参考記事:Asanaレビュー|プロジェクト管理・タスク管理で何ができる?どんな人に向いているか)
Linear vs. ClickUp
ClickUp:「オールインワン」を掲げる多機能ツール。タスク管理、ドキュメント、ホワイトボード、時間管理など、あらゆる機能を統合。無料プランでも多機能。
Linear:機能をあえて絞り、スピードとシンプルさを優先。エンジニアチーム特化。
どう選ぶ?
- ClickUpがおすすめ:一つのツールで全てを管理したい、多機能なツールを使いこなしたい場合
- Linearがおすすめ:シンプルさと速度を優先、開発に特化したツールが欲しい場合
(参考記事:ClickUpレビュー|オールインワン型プロジェクト管理で何ができる?どんな人に向いているか)
Linear vs. Trello
Trello:カンバンボード形式のシンプルなタスク管理ツール。視覚的でわかりやすく、無料プランでも基本機能は十分。
Linear:カンバンボードに加え、スプリント管理、ロードマップ、GitHub連携など、より開発チーム向けの機能が充実。
どう選ぶ?
- Trelloがおすすめ:個人や小規模チームで、シンプルなタスク管理だけで十分な場合
- Linearがおすすめ:開発チームで、GitHub連携やスプリント管理が必要な場合
(参考記事:Trelloレビュー|プロジェクト管理・タスク管理で何ができる?どんな人に向いているか)
Linearがハマる具体的なワークフロー例
Linearを使うと、どんな開発フローが実現できるのか?具体的な2つのワークフロー例を紹介します。
ワークフロー例1:バグ報告から修正完了までの自動化フロー
- Slackでバグ報告を受ける
CSチームがSlackの専用チャンネルで「ログイン画面でエラーが出る」と報告 - リアクションスタンプでIssue化
エンジニアがそのメッセージに👀スタンプをつけると、自動的にLinearにIssueが作成される - TriageでレビューしてIssue化
毎朝のデイリースタンドアップで、Triageに溜まった報告をチームでレビュー。優先度を「High」に設定してIssue化 - Issueから直接GitHubブランチ作成
担当エンジニアがLinearのIssue画面から「Create branch」をクリック。自動的にGitHubにブランチが作成される - コードを修正してプルリクエスト作成
修正が完了したらプルリクエストを作成。LinearのIssueに自動的にPRがリンクされる - レビュー後、マージ
コードレビューが完了し、PRをマージすると、Linearの該当Issueが自動的にクローズされる - Slackに完了通知
Issue完了がSlackに通知され、CSチームも状況を把握できる
このフローのメリット:手動でのステータス更新が不要。開発フローと管理が一体化し、情報の抜け漏れがなくなる。
ワークフロー例2:2週間スプリントでの開発計画と進捗管理
- スプリント計画ミーティング
月曜朝、チームで2週間スプリントの計画を立てる。新機能「ユーザープロフィール編集機能」の実装を目標に設定 - CycleにIssueをまとめる
関連するIssueをCycle「Sprint 12(1/13 – 1/26)」にまとめる。タスクは「フロントエンド実装」「バックエンドAPI作成」「テスト作成」の3つ - 毎日の進捗確認
デイリースタンドアップで、Cycleの進捗を確認。Linearのボード画面で「In Progress」「Done」のステータスが一目でわかる - 途中でタスクが追加される
スプリント途中で「プロフィール画像のアップロード機能も必要」という依頼がSlackで届く。スタンプでIssue化し、Cycleに追加 - スプリントレビュー
2週間後の金曜日、Cycleの完了状況をチームでレビュー。LinearのCycle画面で「8/10タスク完了」と一目で確認できる - 未完了タスクを次Cycleに移行
未完了の2タスクは次のCycleに移動し、新しい2週間スプリントを開始
このフローのメリット:スプリント単位での進捗が可視化され、チーム全体で「今やるべきこと」が明確になる。途中でタスクが追加されても柔軟に対応できる。
まとめ:どんな人がLinearを選ぶべきか
ここまでの内容を踏まえて、Linearがおすすめな人、おすすめしない人を整理します。
Linearがおすすめな人
- エンジニア中心の小〜中規模チーム:5〜30人程度の開発チームに最適
- GitHub連携を重視する人:開発フローと管理を一体化したい
- シンプルで高速なツールを求める人:Jiraの複雑さにうんざりしている
- Slackメインでコミュニケーションしているチーム:Slackからの簡単なIssue作成が便利
- スプリント開発をしているチーム:Cycles機能で進捗管理がスムーズ
- CSやサポートからの依頼が多いチーム:Triage機能で整理できる
- ある程度英語に慣れている人:UIが英語でも問題ない
Linearがおすすめしない人
- 英語に強い苦手意識がある人:日本語サポートが限定的
- 予算が非常に限られているチーム:無料プランは機能制限が多い
- 非技術職が中心のチーム:マーケティングや営業には向かない
- 複雑なワークフローが必要な大企業:カスタマイズ性が限定的
- Notionから移行を検討している人:インポート機能が未対応
- 全社統一のプロジェクト管理ツールを導入したい場合:AsanaやClickUpの方が適している
最終的な判断基準
Linearは、「シンプルさ」と「スピード」を最優先したツールです。開発に集中したいエンジニアチームにとって、管理の手間を最小化してくれる強力な味方になります。
一方で、多機能性や柔軟性を求める場合は、JiraやClickUpの方が適しているかもしれません。まずは無料プランで試してみて、チームに合うかどうかを確認するのがおすすめです。
Linearの公式サイトはこちら:Linear – A better way to build products
他のプロジェクト管理ツールと比較したい方は、こちらの記事もチェックしてみてください。
- Asanaレビュー|プロジェクト管理・タスク管理で何ができる?どんな人に向いているか
- ClickUpレビュー|オールインワン型プロジェクト管理で何ができる?どんな人に向いているか
- Trelloレビュー|プロジェクト管理・タスク管理で何ができる?どんな人に向いているか
- Monday.comレビュー|プロジェクト管理・業務管理で何ができる?どんな人に向いているか
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