Slackレビュー|ビジネスチャットで何ができる?どんな人に向いているか

チームでのコミュニケーションとコラボレーションのイメージ

チーム内のコミュニケーション、もっとスムーズにできたら…

「メールだと気軽に質問しづらい」「LINEグループだと仕事とプライベートが混ざって見づらい」「ファイルのやり取りが面倒で、どこに何があるか分からなくなる」――こんな悩み、ありませんか?

小さなチームや個人事業主にとって、コミュニケーションツールの選択は思った以上に重要です。情報が散らばっていると、探す時間だけでかなりのロスになりますし、「あれ、どこで話したっけ?」と探し回るストレスも馬鹿になりません。

Slack(スラック)は、そんなビジネスコミュニケーションの課題を解決してくれるチャットツールです。メールよりも気軽で、LINEよりも仕事向きに設計されていて、プロジェクトごとにチャンネルを分けて会話を整理できるのが大きな特徴。さらに、Google DriveやNotionなど、他のツールとの連携も強力です。

結論から言うと、Slackはこんな人に向いています:

  • 複数のプロジェクトを同時進行していて、情報を整理したい人
  • リモートワークやハイブリッドワークでチームと繋がりたい人
  • メールだと堅苦しすぎるけど、LINEだとカジュアルすぎると感じている人
  • 他のツール(Googleカレンダー、Trello、Asanaなど)と連携して効率化したい人

この記事では、Slackの基本機能から実際に使ってみて感じたメリット・デメリット、類似ツールとの比較まで、丁寧に解説していきます。

Slackの概要と基本情報

どんなカテゴリのツールか

Slackはビジネスチャット・コラボレーションツールです。チーム内のコミュニケーションをリアルタイムで行いつつ、過去のやり取りを検索して振り返ることができます。メールのような「送信→返信待ち」の堅苦しさがなく、LINEのように気軽に会話できるのが特徴です。

単なるチャットツールではなく、ファイル共有、ビデオ通話、外部ツール連携、ワークフロー自動化など、「仕事で必要なコミュニケーション機能」が一通り揃っています。

代表的なユースケース

  • プロジェクトごとのチャンネル管理:案件A、案件B、総務チャンネルなど、テーマごとに会話を分けられる
  • リモートワークでの社内コミュニケーション:オフィスにいなくても、気軽に質問や雑談ができる
  • ファイル共有とフィードバック:デザインデータや資料をSlackにアップして、その場でコメントをもらえる
  • 外部ツールとの連携:GoogleカレンダーやTrelloの通知をSlackに集約して、情報を一元管理
  • 顧客やパートナーとの専用チャンネル:Slack Connect機能を使えば、社外の人とも安全にやり取りできる

料金・対応言語・提供形態

Slackは2025年現在、以下のプラン構成になっています:

プラン名 月額料金(年間契約時) 主な特徴
フリープラン 無料 メッセージ履歴90日間、1対1のビデオ通話、10個までのアプリ連携
プロ 約1,050円/ユーザー メッセージ履歴無制限、グループビデオ通話(最大50人)、無制限アプリ連携
ビジネスプラス 約1,800円/ユーザー SAML認証、データエクスポート、99.99%稼働保証、優先サポート
Enterprise Grid 要問い合わせ 大企業向け、複数ワークスペース管理、高度なセキュリティ・コンプライアンス

※料金は為替レートにより変動します。最新情報は公式サイトをご確認ください。

対応言語:日本語を含む多言語対応(英語、韓国語、中国語など)

提供形態:

  • Webブラウザ版(Chrome、Safari、Firefoxなど)
  • デスクトップアプリ(Windows、Mac、Linux)
  • モバイルアプリ(iOS、Android)

どのデバイスからでもアクセスでき、デバイス間で自動同期されるため、外出先でもオフィスでも同じように使えます。

主な機能とできること

Slackの主な機能を、実務での使い方をイメージしながら紹介します。

チャンネル機能

プロジェクトやテーマごとに「チャンネル」を作成して、会話を整理できます。例えば、「#プロジェクトA」「#デザインチーム」「#雑談」など。必要なチャンネルだけを表示させることで、情報の見逃しを防げます。

実務での使い方:案件ごとにチャンネルを作り、クライアントとの打ち合わせ内容や進捗を共有。メンバー全員が最新状況を把握できるので、「あれ、どうなってたっけ?」がなくなります。

ダイレクトメッセージ(DM)

特定の人だけに送りたいメッセージは、DMで個別にやり取りできます。1対1だけでなく、複数人でのグループDMも可能です。

実務での使い方:ちょっとした確認事項や、チャンネルで言うほどでもない相談を気軽に送れます。

スレッド機能

メッセージに対して「返信」をスレッド形式でまとめられるので、話題が混ざりません。複数の議論が同時進行していても、それぞれのスレッドで整理されます。

実務での使い方:デザイン案をアップして、それに対するフィードバックをスレッドでまとめる。後から見返したときに、どのデザインにどんな意見が出たかが一目瞭然です。

ファイル共有

画像、PDF、動画など、あらゆるファイルをドラッグ&ドロップで共有できます。Google DriveやDropboxと連携すれば、クラウド上のファイルも直接Slackから開けます。

実務での使い方:制作物をSlackにアップして、その場で確認とフィードバック。メールに添付して送る手間がなくなります。

検索機能

Slackの検索は非常に優秀です。キーワード、ファイル名、送信者、日付などで絞り込めるので、「あのとき誰が言ってたやつ」もすぐに見つかります。

実務での使い方:過去のプロジェクトで使った資料を検索して再利用。ナレッジベースとしても活用できます。

ビデオ通話(Huddle)

チャンネルやDMから、ワンクリックで音声・ビデオ通話を開始できます。画面共有も可能なので、ちょっとした打ち合わせに便利です。

実務での使い方:テキストで説明しづらいときに「ちょっとハドルしよう」と声をかけて、すぐに通話。ZoomやGoogle Meetを立ち上げる必要がありません。

外部ツール連携(アプリ統合)

Slackは3,000以上の外部アプリと連携できます。例えば:

  • Googleカレンダー:予定の通知をSlackに送る
  • Trello / Asana:タスク管理ツールの更新通知を受け取る
  • GitHub:コードのプッシュやプルリクエストを通知
  • Zoom:Slack内からZoomミーティングを開始

実務での使い方:複数のツールを使っていても、通知をSlackに集約することで、いちいちツールを開かなくて済みます。

ワークフロービルダー(自動化機能)

プログラミング不要で、簡単なワークフローを作成できます。例えば、「新しいメンバーが入ったら自動で歓迎メッセージを送る」「毎週金曜日に進捗報告を促すリマインダーを送る」など。

実務での使い方:定型業務を自動化して、手間を減らせます。

AI機能(Slack AI)

2025年の最新アップデートで、AI機能が本格導入されました。会話の要約、スレッドの自動まとめ、検索の精度向上など、AIがコミュニケーションをサポートしてくれます。

実務での使い方:長いスレッドをAIが要約してくれるので、後から参加したメンバーもすぐにキャッチアップできます。

実際に触ってわかったメリット

情報が一箇所に集まるから、探す時間が激減する

Slackを使う前は、「あの情報、メールだっけ?Chatworkだっけ?それともLINE?」と探し回ることが多かったのですが、Slackに集約してからは検索一発で見つかるようになりました。

特に、過去のやり取りを全文検索できるのが素晴らしいです。「確か〇〇さんが言ってた件」と思ったら、キーワードを入れて検索すればすぐに出てきます。有料プランなら履歴が無制限なので、数年前のやり取りも掘り起こせます。

どんな人にとってメリットか:複数のプロジェクトを同時に抱えていて、情報が散らばりがちな人。フリーランスや小さなチームのリーダーに特におすすめです。

チャンネルで会話を整理できるから、話題が混ざらない

LINEグループだと、複数の話題が同時進行すると「どれがどの話だっけ?」となりがちですが、Slackはチャンネルとスレッドで整理できるので、そのストレスがありません。

例えば、案件ごとにチャンネルを作れば、「今どのプロジェクトの話をしているか」が明確です。さらに、スレッド機能を使えば、一つのメッセージに対する議論をまとめられるので、後から見返しても分かりやすいです。

どんな人にとってメリットか:複数の案件を並行して進めている制作会社やコンサルタント、複数のクライアントを抱えるフリーランスに最適です。

外部ツールとの連携が強力で、通知を一元管理できる

Googleカレンダー、Trello、Asana、GitHub、Zoomなど、普段使っているツールの通知をSlackに集約できるのが本当に便利です。

例えば、Googleカレンダーと連携しておけば、会議の15分前にSlackに通知が来るので、見逃しません。Trelloのタスクが更新されたら、Slackに通知が来るので、わざわざTrelloを開かなくても状況が分かります。

どんな人にとってメリットか:複数のツールを使い分けている人。通知を見逃したくない人。効率化を求めている人に向いています。

リモートワークでも「ちょっと話せる」感覚が作れる

オフィスにいれば「ちょっといい?」と声をかけられますが、リモートだとそれができません。Slackのハドル機能(音声・ビデオ通話)を使えば、ワンクリックで「ちょっと話そう」ができます。

しかも、Zoomのように事前にミーティングURLを作る必要がないので、本当に気軽です。雑談チャンネルでハドルを開いておけば、「誰でも入ってきていいよ」というバーチャルオフィスのような使い方もできます。

どんな人にとってメリットか:リモートワークやハイブリッドワークをしているチーム。孤独感を減らしたい人におすすめです。

無料プランでも十分使える(小規模チームなら)

Slackの無料プランは、メッセージ履歴が90日間に制限されますが、10人以下のチームで「とりあえず試してみたい」なら十分です。チャンネル数は無制限、ファイル共有も可能、1対1のビデオ通話もできます。

実際、私も最初は無料プランで使い始めて、「これは便利だ」と実感してから有料プランに移行しました。無料で試せるのは大きなメリットです。

どんな人にとってメリットか:まずは無料で試してみたい人。小規模なチームや、個人事業主におすすめです。

気になった点・注意しておきたいポイント

無料プランだと履歴が90日間しか見られない

無料プランの最大のデメリットは、メッセージ履歴が90日間に制限されていることです。それ以前のメッセージは見られなくなるので、長期的にナレッジベースとして使いたい場合は有料プランが必須です。

ただし、有料プラン(プロ)は月額1,050円/ユーザーなので、メールサーバーを契約するよりは安いと考えれば、コスパは悪くありません。

チャンネルが増えすぎると、通知の見落としが起こる

Slackは便利なので、つい「あれもこれも」とチャンネルを作りがちです。しかし、チャンネルが増えすぎると、通知が多すぎて見落とすことがあります。

対策:重要なチャンネルは「スター」を付けて優先表示させる。通知設定を「すべてのメッセージ」ではなく「メンション時のみ」にするなど、カスタマイズすると良いです。

ビデオ通話の人数制限がある

Slackのハドル機能は便利ですが、無料プランだと1対1のみ、有料プランでも最大50人までという制限があります。大人数でのウェビナーや全社会議には向きません。

そういう場合は、ZoomやGoogle Meetと連携して使うのが現実的です。Slack内からZoomを起動できるので、使い分けはそれほど面倒ではありません。

日本語のサポート情報がやや少ない

Slackは海外発のツールなので、公式ドキュメントは英語が中心です。日本語のヘルプもありますが、英語版に比べると情報量が少ない印象です。

ただし、日本でも広く使われているため、ネット上に日本語の解説記事やブログが豊富にあるので、困ったときはGoogle検索すれば大抵解決します。

学習コストは低いが、使いこなすには慣れが必要

Slackの基本操作は直感的で、メッセージを送るだけなら誰でもすぐにできます。しかし、スレッド、チャンネル管理、ワークフロー自動化など、使いこなすには少し慣れが必要です。

特に、「スレッドを使わずに全部チャンネルに投稿してしまう」と、話題が混ざって見づらくなります。チーム全体でルールを決めておくと良いでしょう。

類似ツールとの比較

Slackと似たビジネスチャットツールはいくつかあります。それぞれの違いを簡単に整理します。

Chatwork(チャットワーク)

特徴:日本発のビジネスチャットツール。日本企業に特化していて、タスク管理機能が標準搭載されています。

Slackとの違い:

  • Chatworkは「タスク管理」が組み込まれているので、チャットとタスクを一緒に管理したい人に向いています。
  • Slackは外部ツール連携が強力で、既に他のツールを使っている人に向いています。
  • 料金はChatworkの方がやや安い(無料プランあり、有料プランは月額500円〜)。

こういう人にはChatwork:日本企業との取引が多く、タスク管理を一緒にしたい人。シンプルな機能で十分な人。

こういう人にはSlack:外部ツールと連携して効率化したい人。海外のクライアントやチームと働く人。

Microsoft Teams(チームズ)

特徴:Microsoftが提供するビジネスチャットツール。Microsoft 365(Word、Excel、OneDriveなど)と完全に統合されています。

Slackとの違い:

  • TeamsはMicrosoft 365と一体化しているので、既にOffice製品を使っている企業には導入しやすい。
  • Slackは、Google Workspace、Notion、Trelloなど、さまざまなツールと柔軟に連携できる。
  • Teamsはビデオ会議機能が強力(最大300人まで)。Slackはチャット重視。

こういう人にはTeams:Microsoft 365を契約している企業。大人数でのビデオ会議が多い人。

こういう人にはSlack:Google WorkspaceやNotionなど、Microsoft以外のツールを使っている人。チャット中心で使いたい人。

LINE WORKS(ラインワークス)

特徴:LINEのビジネス版。普段のLINEと同じ感覚で使えるので、導入ハードルが低いです。

Slackとの違い:

  • LINE WORKSは「LINEを使い慣れている人」にとって学習コストがゼロ。
  • Slackは、外部ツール連携や検索機能、ワークフロー自動化など、よりビジネス向けの高度な機能が充実。

こういう人にはLINE WORKS:ITツールに慣れていない人が多いチーム。とにかく簡単に導入したい人。

こういう人にはSlack:効率化を重視する人。複数のツールを統合して使いたい人。

Slackがハマる具体的なワークフロー例

例1:制作会社での案件管理ワークフロー

シーン:複数のクライアント案件を同時進行しているWeb制作会社

ステップ:

  1. 案件ごとにチャンネルを作成:「#案件A_デザイン」「#案件B_開発」など
  2. Trelloと連携:タスクの進捗がSlackに自動通知される
  3. デザイン案をSlackにアップ:スレッドでフィードバックをまとめる
  4. クライアントとSlack Connect:社外のクライアントとも専用チャンネルで安全にやり取り
  5. 納品前にハドルで最終確認:画面共有しながら、細かい調整を口頭で確認

メリット:案件ごとに情報が整理され、クライアントとのやり取りもSlack内で完結。過去の案件を検索すれば、同じような依頼が来たときにすぐに参考にできます。

例2:リモートチームでの日次報告・進捗共有ワークフロー

シーン:完全リモートで働くスタートアップチーム

ステップ:

  1. 「#daily-standup」チャンネルを作成:毎朝、各メンバーが今日の予定を投稿
  2. ワークフローで自動リマインダー:毎朝9時に「今日の予定を投稿してね」と自動通知
  3. Google カレンダーと連携:ミーティングの15分前にSlackに通知
  4. 雑談チャンネルでハドル:いつでも誰でも入れる「バーチャルオフィス」を常時開放
  5. 週末にAIで会話を要約:今週の重要な決定事項をAIが自動まとめ

メリット:リモートでも「今、誰が何をしているか」が見える化される。孤独感が減り、チームの一体感が生まれます。

まとめ:どんな人がSlackを選ぶべきか

Slackがおすすめな人

  • 複数のプロジェクトや案件を同時進行していて、情報を整理したい人
  • リモートワークやハイブリッドワークで、チームとのコミュニケーションを円滑にしたい人
  • Googleカレンダー、Trello、Notion、Asanaなど、他のツールと連携して効率化したい人
  • メールだと堅苦しすぎるけど、LINEだとカジュアルすぎると感じている人
  • 過去のやり取りを検索して、ナレッジベースとして活用したい人
  • 無料でまず試してみたい小規模チーム(10人以下)

Slackをおすすめしない人

  • シンプルなチャット機能だけで十分で、外部ツール連携が不要な人(→Chatworkの方がシンプル)
  • Microsoft 365を既に契約していて、Officeとの統合を重視する人(→Teamsの方が相性が良い)
  • ITツールに慣れていない人が多く、学習コストをゼロにしたい人(→LINE WORKSの方が導入しやすい)
  • 無料で履歴を無制限に残したい人(→有料プランが必要)
  • 大人数でのビデオ会議がメインの人(→ZoomやTeamsの方が向いている)

最後に

Slackは、「仕事のコミュニケーションを一箇所に集めて、効率的に整理したい」という人にぴったりのツールです。無料プランでも十分使えるので、まずは試してみて、チームに合うかどうか確かめてみることをおすすめします。

外部ツールとの連携や、ワークフロー自動化など、使いこなせば使いこなすほど便利になっていくので、最初はシンプルに使い始めて、徐々に機能を広げていくのが良いでしょう。

もし「他のビジネスチャットツールも比較したい」という場合は、ChatworkやMicrosoft Teamsも合わせてチェックしてみてください。それぞれに強みがあるので、自分のチームや働き方に合ったツールを選ぶのが一番です。

Slack公式サイト