「タスクがあちこちに散らばって、何から手をつけていいかわからない…」「チームメンバーが今何をしているのか把握できない…」こんな悩みを抱えていませんか?
プロジェクト管理ツールは数多くありますが、その中でも視覚的なわかりやすさとシンプルな操作性で世界中のチームに支持されているのがTrello(トレロ)です。
Trelloは、「かんばん方式」でタスクをカードとして管理し、ドラッグ&ドロップで直感的に進捗を動かせるプロジェクト管理ツールです。個人のToDoリストから、数十人規模のチーム運営まで幅広く対応できます。特に、「エクセルでのタスク管理に限界を感じている」「チーム全員が今の状況を一目で把握できるようにしたい」という方には、Trelloが大きな助けになるでしょう。
この記事では、Trelloの基本機能から実際に使ってわかったメリット・デメリット、類似ツールとの比較、具体的な活用例まで、フラットな視点でお伝えしていきます。
Trelloの概要と基本情報
Trelloは、アトラシアン(Atlassian)が提供するプロジェクト管理ツールです。2011年にリリースされ、現在では世界中で数千万人以上のユーザーに利用されています。
どんなカテゴリのツールか
Trelloは「プロジェクト管理」「タスク管理」のカテゴリに属し、特にかんばん方式(Kanban)を採用しているのが大きな特徴です。タスクを「カード」として扱い、「To Do」「進行中」「完了」などのリスト間を移動させることで、視覚的に進捗を管理できます。
代表的なユースケース
- 個人のタスク管理:日々のToDoリストや習慣トラッカー
- チームのプロジェクト進捗管理:Web制作、マーケティングキャンペーン、イベント企画など
- 採用・人事プロセス管理:応募者の選考ステータス管理
- コンテンツ制作のワークフロー:記事執筆のステータス管理(企画→執筆→校正→公開)
- バグ管理・顧客サポート:問い合わせやバグ報告のステータス管理
料金・対応言語・提供形態
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金プラン | FREE(無料)、STANDARD(月額$6/ユーザー、年払いで$5)、PREMIUM(月額$12.50/ユーザー、年払いで$10)、ENTERPRISE(要問い合わせ) |
| 日本円目安 | FREE:無料、STANDARD:約750円/月(年払い)、PREMIUM:約1,500円/月(年払い) |
| 対応言語 | 日本語を含む20以上の言語に対応 |
| 提供形態 | Webブラウザ版、デスクトップアプリ(Windows / Mac)、モバイルアプリ(iOS / Android) |
無料プランでも基本的な機能は十分に使えるため、まずは無料で試してみて、チームの規模や必要な機能に応じてアップグレードするのがおすすめです。
主な機能とできること
Trelloの機能はシンプルながら、実務で必要な要素がしっかり揃っています。
主な機能一覧
- ボード・リスト・カード:プロジェクト全体を「ボード」、カテゴリを「リスト」、個々のタスクを「カード」として管理
- ドラッグ&ドロップ操作:カードをリスト間で自由に移動して進捗を更新
- チェックリスト:カード内にサブタスクを追加して進捗率を可視化
- 期日設定とリマインダー:タスクに期限を設定し、通知を受け取る
- ラベル・タグ付け:優先度やカテゴリで色分け管理
- メンバーアサイン:カードに担当者を割り当て
- コメント・添付ファイル:カード内でチームメンバーとコミュニケーション、ファイル共有
- Power-Ups(拡張機能):カレンダー表示、Slack連携、Google Drive連携など
- 自動化(Butler):繰り返し作業を自動化(有料プランで制限緩和)
- テンプレート:プロジェクトやタスクのテンプレートを保存・再利用
実務での使い方例
例1:Webサイト制作プロジェクト
ボードを「○○社Webサイトリニューアル」として作成し、リストを「要件定義」「デザイン中」「コーディング中」「レビュー待ち」「完了」に分けます。各ページや機能をカードとして登録し、進捗に応じてカードを右側のリストへ移動させていきます。デザイナーやエンジニアをカードにアサインすれば、誰が何を担当しているか一目瞭然です。
例2:個人のブログ執筆管理
「ブログ記事管理」ボードを作り、リストを「アイデア」「執筆中」「校正中」「公開済み」に分類。記事タイトルをカードにして、執筆が進んだらカードを右へ移動。チェックリストで「見出し構成」「本文執筆」「画像挿入」「SEO最適化」などのサブタスクを管理すれば、記事1本の進捗が明確になります。
例3:採用プロセス管理
「2025年新卒採用」ボードで、リストを「応募受付」「書類選考」「一次面接」「最終面接」「内定」に設定。応募者ごとにカードを作成し、選考が進むたびにカードを移動。面接日程や評価コメントをカード内に記録しておけば、人事担当者間で情報共有がスムーズになります。
実際に触ってわかったメリット
1. 視覚的でわかりやすい、誰でもすぐ使える
Trelloの最大の魅力は、説明書を読まなくても直感的に操作できる点です。ボード全体を見渡せば「今どのタスクがどの段階にあるか」が一目瞭然。ドラッグ&ドロップでカードを動かすだけなので、ITツールに慣れていないメンバーでもすぐに使いこなせます。
特に、「エクセルでのタスク管理が見づらくなってきた」「メールでのやり取りだけでは進捗が把握しづらい」というチームには、Trelloの視覚的なわかりやすさが大きなメリットになります。
2. 無料プランでも十分に実用的
Trelloの無料プランは、他のプロジェクト管理ツールと比べても機能制限が少ないのが特徴です。ボード数は10枚まで、カード数は無制限、基本的なPower-Upsも1ボードにつき1つまで利用可能です。
個人利用や小規模チーム(5人以下)であれば、無料プランだけでも十分に運用できます。「まずは無料で試してみて、必要になったら有料プランにアップグレードする」という導入ハードルの低さは、初めてプロジェクト管理ツールを使う方にとって安心材料になるでしょう。
3. モバイルアプリが優秀で、外出先でもサクサク動く
TrelloのiOS・Androidアプリは非常に使いやすく、外出先やスキマ時間でもタスクの確認・更新ができます。通知機能も優秀で、期日が近づいたタスクや、自分がアサインされたカードの更新をプッシュ通知で受け取れます。
「デスクに戻らないとタスクを確認できない」というストレスがなく、移動中やカフェでの作業中にもチームの進捗をキャッチアップできるのは大きなメリットです。
4. 豊富なPower-Upsで拡張性が高い
TrelloはシンプルなUIが売りですが、Power-Ups(拡張機能)を追加することで、カレンダー表示、ガントチャート、Slack連携、Google Drive連携、GitHub連携など、様々な機能を追加できます。
例えば、「カレンダーPower-Up」を有効にすれば、タスクの期日をカレンダー形式で確認でき、締め切りが重なっている時期を一目で把握できます。「Slack連携」を使えば、Trelloのカード更新がSlackに通知され、チームのコミュニケーションがよりスムーズになります。
必要な機能だけを追加できるため、「使わない機能で画面がごちゃごちゃする」ということがありません。
5. テンプレート機能で繰り返し作業を効率化
Trelloにはカードテンプレートとボードテンプレートがあり、繰り返し発生する業務を効率化できます。
例えば、毎月の請求書発行業務であれば、「請求書作成」「確認」「送付」「入金確認」といったチェックリストを持つカードテンプレートを作っておけば、毎月ワンクリックで同じタスクを複製できます。また、「新規プロジェクト立ち上げ」のボードテンプレートを用意しておけば、プロジェクトごとに同じ構成のボードを素早く作成できます。
気になった点・注意しておきたいポイント
1. 大規模プロジェクトや複雑な依存関係には不向き
Trelloはシンプルさが売りですが、裏を返せば大規模で複雑なプロジェクトには機能不足を感じる場面があります。
例えば、タスク間の依存関係(「タスクAが完了しないとタスクBを始められない」など)を明示的に管理する機能は標準では備わっていません。また、ガントチャート表示もPower-Upsを追加しないと使えず、複数プロジェクトをまたいだリソース管理も難しいです。
数十人規模のチームで、複数のプロジェクトを同時並行で管理し、細かいスケジュール調整が必要な場合は、AsanaやJiraなど、より高機能なプロジェクト管理ツールを検討した方が良いでしょう。
2. 無料プランではボード数が10枚まで
Trelloの無料プランでは、作成できるボード数が10枚までという制限があります。個人利用や小規模チームであれば問題ありませんが、複数のプロジェクトを同時に管理したり、アーカイブ用のボードを残しておきたい場合には、すぐに上限に達してしまう可能性があります。
ボード数を増やしたい場合は、STANDARDプラン(月額約750円/ユーザー)以上にアップグレードする必要があります。
3. 自動化機能(Butler)の実行回数に制限がある
TrelloにはButler(バトラー)という自動化機能があり、「カードが特定のリストに移動したら担当者に通知する」「毎週月曜日に定例タスクを自動作成する」といった繰り返し作業を自動化できます。
しかし、無料プランでは月250回までという実行回数制限があります。小規模なチームであれば問題ありませんが、自動化を多用する場合はすぐに上限に達してしまうかもしれません。STANDARDプランでは月1,000回、PREMIUMプランでは無制限になります。
4. 高度なレポート機能やダッシュボードは別途Power-Upsが必要
Trelloはタスクの進捗を視覚的に管理できますが、「今月完了したタスク数」「メンバーごとの作業負荷」といった定量的なレポートを作成する機能は標準では備わっていません。
こうしたレポート機能を使いたい場合は、「Placker」や「Screenful」などのPower-Upsを追加する必要があります(一部有料)。管理職やプロジェクトマネージャーがデータを元に意思決定をしたい場合は、この点を考慮しておく必要があります。
5. リアルタイムコミュニケーションには向かない
Trelloはタスク管理に特化しており、チャット機能やビデオ通話機能は備わっていません。カード内のコメント機能でやり取りはできますが、リアルタイムなコミュニケーションには不向きです。
実際の運用では、Slackやチャットツールと併用し、「日常的なコミュニケーションはSlack、タスクの進捗管理はTrello」と使い分けるのが現実的です。Slack連携のPower-Upを活用すれば、Trelloの更新をSlackに通知できるため、両者をシームレスに連携させられます。
類似ツールとの比較
Trelloと似たプロジェクト管理ツールとして、以下のようなものがあります。
Asana(アサナ)
Asanaは、Trelloよりも高機能なプロジェクト管理ツールです。タスク間の依存関係設定、タイムライン(ガントチャート)表示、ワークロード管理など、より詳細なプロジェクト管理機能が標準で備わっています。
Trelloとの違い:
- Asanaは「リスト表示」「ボード表示」「タイムライン表示」など複数のビューを切り替えられる
- タスクの依存関係やマイルストーン管理が得意
- Trelloよりも学習コストは高め
どんな人におすすめか:
- Asana:中規模以上のチーム、複数プロジェクトを同時管理、詳細なスケジュール管理が必要な方
- Trello:小規模チーム、シンプルな操作性を重視、かんばん方式が好きな方
Notion(ノーション)
Notionは、タスク管理だけでなく、ドキュメント作成、データベース、Wiki機能など、多機能なオールインワンワークスペースです。(当サイトでもNotionのレビュー記事を公開しています)
Trelloとの違い:
- Notionはタスク管理だけでなく、議事録、ナレッジベース、データベースなど多様な用途に対応
- 自由度が高い反面、初期設定や構築に時間がかかる
- Trelloはタスク管理に特化しているため、すぐに使い始められる
どんな人におすすめか:
- Notion:ドキュメント管理もタスク管理も1つのツールで完結させたい、カスタマイズ性を重視する方
- Trello:タスク管理だけに集中したい、シンプルなツールを好む方
ClickUp(クリックアップ)
ClickUpは、「すべてを1つのアプリで」をコンセプトにした高機能プロジェクト管理ツールです。タスク管理、ドキュメント、ゴール管理、時間トラッキングなど、非常に多くの機能を備えています。
Trelloとの違い:
- ClickUpは機能が非常に豊富で、カスタマイズ性が高い
- Trelloよりも多機能だが、その分UIが複雑で学習コストが高い
- 無料プランでもタスク数無制限、メンバー無制限と太っ腹
どんな人におすすめか:
- ClickUp:多機能なツールを使いこなしたい、カスタマイズ性を重視する方
- Trello:シンプルで直感的なツールを好む、すぐに使い始めたい方
Monday.com(マンデードットコム)
Monday.comは、カラフルなUIと柔軟なカスタマイズ性が特徴のプロジェクト管理ツールです。複数のビュー(ボード、タイムライン、カレンダー、ガントチャート)を切り替えられます。
Trelloとの違い:
- Monday.comは複数のビューやレポート機能が充実
- Trelloよりも料金が高め(無料プランは2ユーザーまで)
- UIがカラフルで視覚的だが、Trelloの方がシンプル
どんな人におすすめか:
- Monday.com:予算に余裕がある中規模以上のチーム、多様な表示形式でプロジェクトを管理したい方
- Trello:コストを抑えたい、シンプルなかんばんボードで十分な方
Trelloがハマる具体的なワークフロー例
ワークフロー例1:フリーランスライターのコンテンツ制作管理
フリーランスのライターが複数のクライアントから案件を受けている場合、Trelloで以下のように管理できます。
ボード名:「2025年 執筆案件管理」
リスト構成:
- 依頼受付:クライアントから依頼を受けた記事をカードとして登録
- リサーチ中:記事のリサーチを進めているタスク
- 執筆中:本文を執筆しているタスク
- 校正・修正中:クライアントからのフィードバックを反映している段階
- 納品済み:クライアントに納品完了したタスク
運用の流れ:
- クライアントから依頼を受けたら、「依頼受付」リストにカードを作成し、記事タイトル、納期、文字数、報酬をカードの説明欄に記載
- 期日を設定し、リマインダーをオンにしておく
- リサーチを始めたらカードを「リサーチ中」に移動し、参考資料のURLをカードに添付
- 執筆を開始したら「執筆中」に移動、チェックリストで「見出し作成」「本文執筆」「画像挿入」などのサブタスクを管理
- クライアントに提出したら「校正・修正中」に移動、フィードバックをコメントに記録
- 納品が完了したら「納品済み」に移動し、請求書発行のチェックリストを追加
このワークフローのメリット:
- 複数の案件を並行して進めても、「今どの記事がどの段階か」が一目でわかる
- 納期が近い案件を色分けして優先順位をつけられる
- 過去の納品記事をアーカイブボードに移動すれば、実績管理にも使える
ワークフロー例2:小規模ECショップの商品開発プロセス管理
小規模なECショップを運営していて、新商品の企画から販売までのプロセスを管理したい場合、Trelloで以下のように運用できます。
ボード名:「2025年 新商品開発」
リスト構成:
- アイデア:新商品のアイデアを思いついたらメモ
- 企画検討中:市場調査や原価計算を進めている商品
- 試作・サンプル作成中:実際にサンプルを作成している段階
- 撮影・ページ作成中:商品写真の撮影やECサイトのページ作成
- 販売準備中:在庫確保、決済設定など販売前の最終準備
- 販売中:実際に販売が開始された商品
運用の流れ:
- 「アイデア」リストに新商品のアイデアをカードとして登録(例:「春限定の桜フレーバー」)
- 企画が固まったら「企画検討中」に移動し、チェックリストで「競合調査」「原価計算」「利益率確認」などのタスクを追加
- 試作を開始したら「試作・サンプル作成中」に移動、サンプル画像を添付
- 撮影やページ作成を進めたら「撮影・ページ作成中」に移動、ライターやカメラマンをメンバーとしてアサイン
- 販売開始日を期日として設定し、「販売準備中」で最終チェック
- 販売が開始されたら「販売中」に移動し、売上データや顧客フィードバックをコメントに記録
このワークフローのメリット:
- 複数の新商品を同時並行で開発していても、それぞれの進捗が把握しやすい
- チームメンバー(デザイナー、ライター、カメラマンなど)が誰に何を依頼したか明確になる
- 過去の商品開発プロセスを振り返って、次回の改善に活かせる
まとめ:どんな人がTrelloを選ぶべきか
Trelloがおすすめな人
- シンプルで直感的なツールを求めている方:複雑な設定なしに、すぐ使い始めたい
- 視覚的にタスクを管理したい方:かんばん方式で進捗を一目で把握したい
- 個人〜小規模チーム(5〜10人程度):大規模な機能は不要で、基本的なタスク管理ができればOK
- 無料から始めたい方:まずは無料プランで試してみて、必要に応じてアップグレードしたい
- モバイルでもタスク管理したい方:外出先やスキマ時間でもサクサク操作したい
- 他のツールと連携させたい方:Slack、Google Drive、GitHubなど、既存のツールと組み合わせて使いたい
Trelloがおすすめでない人
- 大規模で複雑なプロジェクトを管理したい方:タスクの依存関係や詳細なガントチャートが必要なら、AsanaやJiraを検討した方が良い
- 高度なレポート機能やダッシュボードが必須の方:定量的なデータ分析を重視するなら、Monday.comやClickUpの方が向いている
- ドキュメント管理もまとめて行いたい方:議事録やナレッジベースも一緒に管理したいなら、Notionの方が便利
- 無料プランでボード数を気にせず使いたい方:無料プランのボード数制限(10枚)が気になるなら、他のツールを検討した方が良い
最後に
Trelloは、「シンプルで使いやすいタスク管理ツール」として、個人から小規模チームまで幅広く支持されています。視覚的なわかりやすさ、低い学習コスト、充実した無料プランという三拍子が揃っており、「プロジェクト管理ツールを初めて使う」という方にも自信を持っておすすめできます。
一方で、大規模プロジェクトや複雑な依存関係の管理には向かない側面もあります。自分のチーム規模や業務内容に合わせて、まずは無料プランで試してみて、「このままTrelloで十分か」「より高機能なツールが必要か」を判断するのが良いでしょう。
もし「他のプロジェクト管理ツールも比較したい」という場合は、当サイトNeuroStackのツールレビュー記事も参考にしてみてください。あなたのチームにぴったりのツールが見つかるはずです。