カスタマーサポートのチケット管理を自動化するワークフロー|Notion・Make・Gmail・ChatGPTを組み合わせた実践レシピ

カスタマーサポートのチケット管理を自動化するワークフロー

ゴールと前提条件

このワークフローで実現すること

カスタマーサポート業務において、お客様からの問い合わせメールを受信してから対応完了まで、以下のプロセスを自動化します。

  • 問い合わせメールの自動取得と分類 – Gmail経由で受信した問い合わせを自動的にNotion上のチケットとして作成
  • AIによる自動カテゴライズと優先度判定 – ChatGPTが問い合わせ内容を分析し、カテゴリ・優先度・担当者を自動で割り当て
  • ナレッジベースの自動構築 – 対応済みチケットから類似の質問と回答をデータベース化し、検索可能な状態で蓄積
  • 対応状況の可視化と通知 – チケットの進捗状況をリアルタイムで把握でき、対応漏れを防止

このワークフローを導入することで、チケット作成時間を約30分から5分程度に短縮でき、担当者は本質的な顧客対応に集中できるようになります。

前提となる環境

このワークフローを実装するには、以下の環境が必要です。

  • Gmail – カスタマーサポート用のメールアドレス(無料プランでOK)
  • Notion – チケット管理用のワークスペース(無料プランまたは有料プラン)
  • Make(旧Integromat) – 自動化ワークフローを構築するツール(無料プランは月1,000オペレーションまで)
  • ChatGPT API – OpenAIのAPIキー(従量課金制、GPT-4o miniなら月数百円程度)

いずれも無料プランまたは低コストで始められるため、小規模チームでも導入しやすい構成になっています。

全体フローの俯瞰図

このワークフローは、以下の4つのステップで構成されています。

  1. トリガー:Gmail受信
    カスタマーサポート用のメールアドレスに問い合わせが届いたタイミングで、自動的にワークフローが起動します。特定のラベルが付いたメールのみを対象にすることも可能です。
  2. 情報抽出と整理:Make
    Makeが受信メールの件名・本文・送信者情報・添付ファイルなどを自動的に取得し、構造化されたデータに変換します。HTMLメールも自動的にプレーンテキストに変換されます。
  3. AI分析と判定:ChatGPT API
    取得したメール内容をChatGPTが分析し、問い合わせのカテゴリ(技術的問題/請求関連/機能要望など)、優先度(高/中/低)、推奨される担当者、要約文を自動生成します。過去のナレッジベースを参照して類似事例があれば提案します。
  4. 記録と通知:Notion
    分析結果をもとに、Notionのデータベースに新規チケットとして登録します。チケットには、顧客情報・問い合わせ内容・AIによる分析結果・対応ステータス・担当者などが記録され、一元管理できる状態になります。

この一連の流れが、メール受信から数秒〜数十秒で自動的に完了します。担当者は、Notion上で整理されたチケットを確認するだけで、すぐに対応を開始できます。

使用するツールと役割

Gmail – 問い合わせの受付窓口

Gmailは、カスタマーサポートの最初の接点となる問い合わせ受付窓口として機能します。このワークフローでは、特定のメールアドレス(例:support@example.com)に届いたメールを監視し、新着があれば自動的に次のステップへ引き渡します。

ワークフロー内での役割:

  • 顧客からの問い合わせメールを受信
  • Makeへメール内容(件名・本文・送信者・日時)を提供
  • (オプション)処理済みメールに自動的にラベルを付与して整理

Make – ワークフロー全体の司令塔

Makeは、各ツールを連携させ、データの受け渡しを自動化する中核的な役割を担います。ノーコードでワークフローを構築でき、視覚的に処理フローを設計・管理できます。

ワークフロー内での役割:

  • Gmailの新着メールを定期的に監視(1分〜15分間隔で設定可能)
  • メール内容を構造化データに変換
  • ChatGPT APIへデータを送信し、分析結果を受け取る
  • Notion APIを使ってチケットデータベースに新規レコードを作成
  • エラーハンドリングやリトライ処理を自動実行

ChatGPT API – 問い合わせ内容のインテリジェントな分析

OpenAI ChatGPT APIは、受信した問い合わせ内容を自然言語処理で分析し、人間が行うような判断を自動化します。

ワークフロー内での役割:

  • 問い合わせ内容を要約(長文メールを3〜4行に圧縮)
  • カテゴリ分類(技術サポート、請求問題、機能要望、その他)
  • 緊急度判定(即時対応が必要か、通常対応で問題ないか)
  • 推奨担当者の提案(過去の対応履歴から最適な担当者を推薦)
  • 類似の過去事例があれば参照情報を提供

2025年現在、GPT-4o miniモデルを使用すれば、1チケットあたり数円程度のコストで高精度な分析が可能です。

Notion – チケット管理とナレッジベースの統合プラットフォーム

Notionは、チケット情報を一元管理し、チーム全体で共有できるデータベースとして機能します。柔軟なデータベース構造により、チケット管理だけでなくナレッジベースの構築も同時に実現できます。

ワークフロー内での役割:

  • チケット情報の一元管理(顧客情報、問い合わせ内容、対応状況、担当者)
  • ステータス管理(未対応→対応中→解決済み→クローズ)
  • フィルタ・ソート機能で優先対応すべきチケットを即座に把握
  • 対応履歴とナレッジの蓄積により、同様の問い合わせに迅速対応
  • 担当者間でのコメント・メモ機能で情報共有

手順詳細(ステップバイステップ)

STEP 1:Notionでチケット管理データベースを作成

まず、チケット情報を格納するためのデータベースをNotion上に作成します。

具体的な手順:

  1. Notionで新規ページを作成し、「カスタマーサポートチケット」などの名前を付けます
  2. 「テーブル – データベース(フルページ)」を選択
  3. 以下のプロパティ(列)を追加します:
    • チケットID(自動連番またはテキスト)
    • 顧客名(テキスト)
    • メールアドレス(メール形式)
    • 件名(タイトル)
    • 問い合わせ内容(長文テキスト)
    • 要約(テキスト)
    • カテゴリ(セレクト:技術サポート、請求問題、機能要望、その他)
    • 優先度(セレクト:高、中、低)
    • ステータス(セレクト:未対応、対応中、解決済み、クローズ)
    • 担当者(人物)
    • 受信日時(日付)
    • 対応完了日(日付)
    • 対応メモ(長文テキスト)
  4. ビュー設定で、ステータスごとにカンバン表示やフィルタ表示を作成しておくと便利です

つまづきポイント:
データベースのプロパティタイプは後から変更が難しい場合があるため、最初に設計をしっかり行いましょう。特に「セレクト」と「マルチセレクト」の違いに注意してください。

STEP 2:NotionのAPIキーとデータベースIDを取得

Makeからアクセスできるようにするため、NotionのAPI設定を行います。

  1. Notion Integrationsページにアクセス
  2. 「新しいインテグレーションを作成」をクリック
  3. インテグレーション名(例:「Make – サポートチケット自動化」)を入力
  4. 関連するワークスペースを選択し、作成
  5. 表示されたInternal Integration Tokenをコピーして保存(後でMakeで使用)
  6. 作成したチケット管理データベースのページを開き、右上の「…」メニューから「接続を追加」→先ほど作成したインテグレーションを選択
  7. データベースのURLからデータベースIDを取得(URLの「https://notion.so/」の後の32文字の英数字)

つまづきポイント:
インテグレーションを作成しただけでは不十分で、必ずデータベースページで「接続を追加」する必要があります。この手順を忘れると、Makeからアクセスできません。

STEP 3:ChatGPT APIキーを取得

問い合わせ内容の分析に使用するChatGPT APIのキーを取得します。

  1. OpenAI Platformにアクセスしてアカウントを作成(既存のChatGPTアカウントとは別に登録が必要)
  2. 右上のメニューから「API keys」を選択
  3. 「Create new secret key」をクリックし、キー名を入力(例:「Make – チケット分析」)
  4. 生成されたAPIキーをコピーして安全に保存(一度しか表示されません)
  5. 「Billing」ページで支払い方法を登録し、使用上限を設定しておくと安心です(月$5〜$10程度で十分)

つまづきポイント:
APIキーは再表示できないため、必ず安全な場所に保存してください。紛失した場合は新しいキーを作成し、古いキーは無効化する必要があります。

STEP 4:Makeでワークフローシナリオを構築

ここからが本格的な自動化設定です。Makeで各ツールを連携させます。

4-1. Makeアカウントを作成してシナリオを開始

  1. Makeにアクセスしてアカウント作成(無料プランで開始可能)
  2. ダッシュボードから「Create a new scenario」をクリック
  3. シナリオ名を「カスタマーサポートチケット自動化」などに設定

4-2. Gmailトリガーを設定

  1. 「+」ボタンをクリックして最初のモジュールを追加
  2. 検索バーで「Gmail」を検索し、「Watch emails」モジュールを選択
  3. 「Create a connection」をクリックしてGoogleアカウントと連携
  4. 設定項目:
    • Folder:INBOX(受信トレイ)を選択
    • Label:特定のラベルで絞り込む場合は設定(例:「サポート」ラベル)
    • Maximum number of results:10(一度に処理するメール数)
    • Criteria:「Unread messages」(未読メールのみ)を選択すると便利
  5. 「OK」をクリックして保存

4-3. ChatGPT分析モジュールを追加

  1. Gmailモジュールの右側の「+」ボタンをクリック
  2. 「HTTP」モジュールを検索して「Make a request」を選択
  3. 設定項目:
    • URL:https://api.openai.com/v1/chat/completions
    • Method:POST
    • Headers
      • Name: Authorization / Value: Bearer [あなたのAPIキー]
      • Name: Content-Type / Value: application/json
    • Body type:Raw
    • Request content:以下のJSON形式で入力
{
  "model": "gpt-4o-mini",
  "messages": [
    {
      "role": "system",
      "content": "あなたはカスタマーサポートのチケット分析AIです。以下の情報を抽出してJSON形式で返してください:1. 要約(3行以内)、2. カテゴリ(技術サポート/請求問題/機能要望/その他)、3. 優先度(高/中/低)、4. 推奨担当者(テクニカルサポート/アカウント管理/プロダクト)"
    },
    {
      "role": "user",
      "content": "件名:{{1.subject}}\n\n本文:{{1.text}}"
    }
  ],
  "temperature": 0.3
}

{{1.subject}}{{1.text}}は、Gmailモジュールから自動的に挿入されます。

4-4. ChatGPT応答を解析

  1. 次に「JSON」モジュールを追加し、「Parse JSON」を選択
  2. JSON stringに、前のHTTPモジュールの出力 {{data.choices[0].message.content}} をマッピング
  3. これでChatGPTの分析結果を構造化データとして扱えるようになります

4-5. Notionにチケットを作成

  1. 「Notion」モジュールを検索し、「Create a Database Item」を選択
  2. 「Create a connection」でNotionと連携(先ほど取得したIntegration Tokenを使用)
  3. 設定項目:
    • Database ID:STEP 2で取得したデータベースIDを入力
    • Properties:各プロパティに対応するデータをマッピング
      • 件名:{{1.subject}}
      • 顧客名:{{1.from.name}}
      • メールアドレス:{{1.from.address}}
      • 問い合わせ内容:{{1.text}}
      • 要約:{{4.summary}}(ChatGPTの出力)
      • カテゴリ:{{4.category}}
      • 優先度:{{4.priority}}
      • ステータス:「未対応」(固定値)
      • 受信日時:{{1.date}}

4-6. Gmailメールに処理済みマークを付ける(オプション)

  1. 最後に「Gmail」モジュールの「Modify labels of an email」を追加
  2. 処理済みのメールに「処理済み」ラベルを自動付与することで、重複処理を防ぎます

つまづきポイント:
Makeのデータマッピングは最初は難しく感じるかもしれません。各モジュールの出力データは、右側のパネルで確認できるので、必ず確認しながら設定しましょう。特にChatGPTの応答形式は、プロンプトによって変わるため、テスト実行で確認が必須です。

STEP 5:テスト実行と調整

  1. Makeシナリオ画面の左下「Run once」をクリックしてテスト実行
  2. テスト用の問い合わせメールをGmailに送信
  3. 各モジュールの処理状況を確認(エラーがあれば赤く表示されます)
  4. Notionデータベースに正しくチケットが作成されているか確認
  5. 問題なければ、シナリオを「ON」にして自動実行を開始

スケジュール設定:
Makeの無料プランでは月1,000オペレーションまで利用可能です。Gmailの監視頻度を15分に1回に設定すれば、1日96回、月約2,880回のチェックになり、無料枠内に収まります。頻度を5分に1回にする場合は有料プランを検討しましょう。

自動化前後でどう変わるか(ビフォーアフター)

作業時間の変化

作業内容 自動化前 自動化後 削減時間
メール確認と内容把握 5〜10分/件 0分(自動) 5〜10分
チケット起票(手動入力) 3〜5分/件 0分(自動) 3〜5分
カテゴリ・優先度判定 2〜3分/件 0分(自動) 2〜3分
担当者アサイン 1〜2分/件 0分(自動) 1〜2分
過去事例の検索 5〜10分/件 数秒(AI提案) 5〜10分
合計(1件あたり) 16〜30分 1〜2分 15〜28分

1日20件の問い合わせがある場合、1日あたり約5〜9時間の削減になります。これは担当者が本質的な顧客対応や問題解決に集中できる時間が大幅に増えることを意味します。

ミスの起こりやすさ

自動化前の課題:

  • 手動入力によるタイプミスや転記ミス
  • 緊急度の判断ミスによる対応遅延
  • 担当者のスキルや経験によって判断が不安定
  • チケット起票漏れ(メールを見落とす)
  • 情報の記録忘れ(誰がいつ何を対応したか不明)

自動化後の改善:

  • メール内容が自動的に正確に転記される
  • AIによる一貫した基準での優先度判定
  • すべてのメールが漏れなくチケット化される
  • タイムスタンプが自動記録され、対応履歴が明確
  • 過去の類似事例が自動提案され、対応品質が向上

メンバー間の共有のしやすさ

自動化前:

  • メールは個人の受信箱に分散し、他のメンバーが状況を把握しにくい
  • 引き継ぎ時に情報が欠落しやすい
  • 誰が何に対応しているか不透明
  • 対応状況の報告に手間がかかる

自動化後:

  • すべてのチケットがNotion上で一元管理され、チーム全員がリアルタイムで確認可能
  • ステータス・担当者・優先度が可視化され、業務の透明性が向上
  • フィルタ機能で「自分の担当チケット」「未対応の緊急案件」などを瞬時に把握
  • 対応履歴がすべて記録されるため、引き継ぎがスムーズ
  • マネージャーは全体の対応状況をダッシュボードで一目で確認できる

応用・拡張アイデア

1. Slack通知の追加

緊急度が「高」のチケットが作成された際に、Slackの特定チャンネルに通知を送ることで、即座に対応を開始できます。

実装方法:
Makeのシナリオに「Router」モジュールを追加し、ChatGPTが判定した優先度が「高」の場合のみ、Slackの「Send a Message」モジュールを実行する分岐を作ります。

2. 自動返信メールの送信

チケット作成時に、顧客に対して「お問い合わせを受け付けました。チケット番号は#XXXXです」という自動返信を送ることで、顧客満足度が向上します。

実装方法:
Notionチケット作成後に、Gmailの「Send an Email」モジュールを追加し、チケットIDを含む定型文を自動送信します。

3. 添付ファイルの自動保存

問い合わせメールに添付されたスクリーンショットやログファイルを、Google DriveやNotionページに自動保存することで、情報管理が完璧になります。

実装方法:
Gmailモジュールで取得した添付ファイルを、Google Driveの「Upload a File」モジュールで保存し、そのリンクをNotionチケットに記録します。

4. 定期レポートの自動生成

週次または月次で、チケット対応状況のサマリーレポート(件数、平均対応時間、カテゴリ別分布など)を自動生成し、管理職にメール送信できます。

実装方法:
別のMakeシナリオで、Notion APIから一定期間のチケットデータを取得し、ChatGPTで分析・レポート作成し、Gmail経由で送信します。

5. ナレッジベースの自動更新

解決済みチケットの中から、同じ質問が複数回発生しているものを自動検出し、FAQ用のナレッジベースページをNotionに自動作成します。

実装方法:
週1回のスケジュール実行で、Notionから「解決済み」ステータスのチケットを取得し、ChatGPTで類似質問をグループ化・要約し、新規Notionページとして公開します。

6. 多言語対応

海外顧客からの問い合わせが英語や他言語で届いた場合、ChatGPTで自動的に日本語翻訳してからチケット化することで、言語の壁を取り払います。

実装方法:
ChatGPTへのプロンプトに「メールが英語の場合は日本語に翻訳してください」という指示を追加するだけで対応可能です。

よくある質問・つまづきポイントQ&A

Q1. Makeシナリオが実行されない・トリガーが発火しない

A. 以下を確認してください:

  • シナリオが「ON」になっているか(左下のスイッチ)
  • Gmail接続が有効か(期限切れの場合は再認証が必要)
  • Gmailの「Watch emails」設定で、正しいフォルダ・ラベルが選択されているか
  • テストメールが実際に該当フォルダに届いているか
  • Makeの無料枠(月1,000オペレーション)を超えていないか

Q2. ChatGPTのAPIエラーが出る

A. 以下をチェックしてください:

  • APIキーが正しく設定されているか(先頭の「Bearer 」を忘れていないか)
  • OpenAIのアカウントに支払い方法が登録されているか
  • 使用量上限に達していないか(Billing画面で確認)
  • リクエストのJSON形式が正しいか(カンマやカッコの位置を再確認)
  • モデル名が「gpt-4o-mini」など正しいものになっているか

Q3. Notionにチケットが作成されない

A. 以下を確認してください:

  • Notion Integrationがデータベースページにアクセスできるようになっているか(ページの「接続を追加」を確認)
  • データベースIDが正しいか(32文字の英数字)
  • プロパティ名が完全に一致しているか(全角・半角スペースの違いに注意)
  • セレクトプロパティの選択肢が事前に作成されているか(Makeは新しい選択肢を自動作成できません)

Q4. チケットは作成されるが、一部の情報が欠けている

A. データマッピングを見直してください:

  • Makeの各モジュール実行後に、出力データを確認(右パネルの虫眼鏡アイコン)
  • ChatGPTの応答が期待通りのJSON形式になっているか確認
  • メールに本文がない場合や、HTMLメールの場合は {{1.text}} ではなく {{1.html}} を使用

Q5. 重複してチケットが作成されてしまう

A. 以下の対策を実施してください:

  • Gmailの「Watch emails」設定で「Unread messages」を選択
  • 処理済みメールに自動的にラベルを付けるモジュールを追加
  • Notionに「メールID」フィールドを追加し、重複チェック用のフィルタを設定

Q6. ChatGPTの分析精度が低い

A. プロンプトを改善してください:

  • 過去の実際のチケット例を「few-shot learning」としてプロンプトに含める
  • カテゴリの定義を明確にする(例:「技術サポート=ログインできない、エラーが出るなど」)
  • GPT-4o miniではなくGPT-4oを使用する(精度向上、コストは約10倍)
  • temperature値を0.1〜0.3に下げる(より確定的な応答になる)

まとめ:まずどこから着手すべきか

このワークフローは一見複雑に見えますが、段階的に導入することで、無理なく自動化を実現できます。

最初の一歩:まずはここから始めましょう

Phase 1(最小構成):Gmail → Notion 連携だけを実装

ChatGPTの分析を省略し、まずは「受信メールを自動的にNotionチケットに変換する」だけの仕組みを作りましょう。これだけでも手動入力の手間が大幅に削減されます。

  • 所要時間:1〜2時間
  • 効果:チケット起票時間が5分→1分に短縮
  • コスト:無料(MakeとNotionの無料プランで可能)

Phase 2(中級):ChatGPTによる要約・分類を追加

Phase 1が安定稼働したら、ChatGPT分析モジュールを追加します。最初はシンプルな要約だけでもOK。カテゴリ分類は手動で調整しながら、プロンプトを改善していきましょう。

  • 所要時間:2〜3時間(プロンプト調整含む)
  • 効果:分類・優先度判定が自動化され、さらに5〜10分/件の削減
  • コスト:月500〜1,000円程度(チケット数による)

Phase 3(上級):Slack通知・自動返信・ナレッジベースを拡張

基本ワークフローが定着したら、応用編の機能を段階的に追加していきます。Slack通知は即効性が高く、チーム全体の反応速度が向上します。

  • 所要時間:各機能1〜2時間
  • 効果:チーム全体の対応品質と速度が向上
  • コスト:追加コストはほぼなし

成功のポイント

  1. 完璧を目指さない – 最初から100%の精度を求めず、70〜80%の自動化でも十分に効果があります
  2. 小さく始めて改善する – いきなり全機能を実装せず、Phase 1から順に進めましょう
  3. 実際のデータで検証する – テストメールだけでなく、実際の顧客メールで動作確認を重ねることで精度が向上します
  4. チーム全体で改善する – 担当者からのフィードバックを収集し、継続的にプロンプトやワークフローを改善しましょう

投資対効果の目安

項目 初期投資 月額コスト 削減時間 ROI
Phase 1 2時間 無料 約2時間/日 即座に黒字
Phase 2 3時間 500〜1,000円 約4時間/日 1週間で回収
Phase 3 2〜4時間 ほぼ無料 さらに1〜2時間/日 即座に黒字

カスタマーサポート業務の自動化は、単なる効率化ではなく、チーム全体の働き方を変える投資です。まずはPhase 1から始めて、1週間試してみましょう。その効果を実感できたら、Phase 2、Phase 3へと進んでいけば、数ヶ月後には完全に自動化されたサポート体制が完成します。

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