1. ゴールと前提条件
このワークフローで実現できること
このワークフローは、リード獲得から育成(ナーチャリング)までのマーケティングプロセスを70%自動化し、見込み顧客との継続的な関係構築を効率化します。
具体的には、以下のような業務を自動化できます:
- Webフォームからのリード情報の自動収集と一元管理
- リードの属性・行動データに基づく自動スコアリング
- スコアに応じた段階的なフォローアップメールの自動配信
- AIによるパーソナライズされたメール文面の自動生成
- ホットリード(購買意欲の高い見込み顧客)の自動検知と営業チームへの通知
- リード育成の進捗状況の可視化とレポーティング
前提となる環境
このワークフローを実装するには、以下のツール環境が必要です:
- Notion:リード情報の一元管理データベースとして利用
- Make(旧Integromat):各ツールを連携させる自動化プラットフォーム(無料プランでも月間1,000オペレーションまで利用可能)
- ChatGPT API:パーソナライズされたメール文面の自動生成に使用
- Googleスプレッドシート:リードスコアリングロジックの管理と分析用データの蓄積
- Gmail:フォローアップメールの送信に使用
- Webフォーム(Google Forms、Typeform、自社サイトのフォームなど):リード情報の取得窓口
また、マーケティングオートメーション(MA)の基本概念であるデマンドジェネレーションの理解があると、このワークフローの効果を最大化できます。デマンドジェネレーションは「リードジェネレーション(獲得)→リードナーチャリング(育成)→リードクオリフィケーション(選別)」という3つのプロセスで構成されています。
2. 全体フローの俯瞰図
このマーケティングオートメーションワークフローは、以下の5つのステップで構成されています:
【トリガー】Webフォーム送信
↓
【ステップ1】リード情報の自動収集と登録
Make が Webフォームの送信を検知し、Notion データベースと Googleスプレッドシートに自動登録
↓
【ステップ2】リードスコアリングの自動実行
属性情報(業種、役職、企業規模など)と行動データに基づいて自動的にスコアを算出
↓
【ステップ3】AI によるパーソナライズメールの自動生成
ChatGPT API がリード情報を分析し、最適化されたフォローアップメールを自動生成
↓
【ステップ4】段階的なナーチャリングメールの自動配信
スコアと育成ステージに応じて、タイミングを調整しながら Gmail から自動送信
↓
【ステップ5】ホットリード検知と営業チームへの自動通知
一定スコア以上のリードを自動検知し、営業担当者にメール/Slack で即座に通知
このフロー全体を通じて、リード情報は常に Notion と Googleスプレッドシートで同期・可視化され、マーケティングチームはいつでも育成状況を確認できます。
3. 使用するツールと役割
Notion(リード管理データベース)
役割:すべてのリード情報を一元管理する中央データベースとして機能します。
具体的には以下の情報を記録・管理します:
- 基本情報(名前、メールアドレス、会社名、役職、電話番号など)
- 獲得経路(Webフォーム、セミナー、広告など)
- リードスコア(数値)
- 育成ステージ(新規リード/育成中/ホットリード/商談化など)
- 送信済みメール履歴
- 最終接触日
- 担当営業(アサイン後)
Notion のデータベース機能を活用することで、フィルタ・ソート・ビュー切り替えが容易になり、リードの状況を直感的に把握できます。
Make(自動化エンジン)
役割:各ツールを連携させ、ワークフロー全体を自動実行する「自動化の司令塔」です。
このワークフローでは、以下の処理を自動化します:
- Webフォーム送信の検知とデータ取得
- Notion へのリード情報登録
- Googleスプレッドシートへのデータ同期
- スコアリングロジックの実行
- ChatGPT API の呼び出しとメール文面生成
- Gmail からのメール送信
- ホットリード検知時の通知送信
- 定期的なリードステータス更新
Make はビジュアルなフローエディタを備えているため、プログラミング知識がなくても直感的に自動化フローを構築できます。
ChatGPT API(AI メール生成エンジン)
役割:リード情報を分析し、パーソナライズされたフォローアップメールを自動生成します。
このワークフローでは、以下のような処理を行います:
- リードの業種・役職・関心事項に基づいた文面のカスタマイズ
- 育成ステージに応じた適切なトーンとメッセージの選択
- 過去の送信履歴を考慮した重複のないコンテンツ提案
- 件名の最適化(開封率を高めるための工夫)
AI を活用することで、大量のリードに対して「手作業で書いたような」質の高いパーソナライズメールを自動生成できます。
Googleスプレッドシート(スコアリングロジック管理と分析)
役割:リードスコアリングの計算ロジックを管理し、分析用のデータを蓄積します。
具体的には以下の用途で活用します:
- 属性別スコアテーブルの管理(業種:+10点、役職:部長以上+15点など)
- 行動スコアの記録(資料ダウンロード:+5点、セミナー参加:+20点など)
- リード育成の進捗データの時系列記録
- 週次・月次レポート用のピボットテーブルとグラフ作成
- コンバージョン率や育成期間の分析
スプレッドシートならではの柔軟性により、スコアリングロジックを随時調整・改善することが可能です。
Gmail(メール配信エンジン)
役割:ナーチャリングメールを実際に送信する配信エンジンです。
このワークフローでは、以下の機能を活用します:
- ChatGPT で生成されたメール文面の自動送信
- 育成ステージに応じた段階的なメール配信(初回接触→フォローアップ1→フォローアップ2…)
- 送信履歴の記録(Notion と同期)
- 営業チームへのホットリード通知メール送信
Gmail を使用することで、既存のビジネスメールアカウントから自然な形でメールを送信でき、受信者に違和感を与えません。
4. 手順詳細(ステップバイステップ)
STEP 1:Notion リード管理データベースの構築
まず、Notion でリード情報を管理するデータベースを作成します。
設定手順:
- Notion で新しいページを作成し、「データベース – テーブル」を選択
- データベース名を「リード管理データベース」に設定
- 以下のプロパティ(列)を追加:
- 名前(テキスト)
- メールアドレス(メール)
- 会社名(テキスト)
- 役職(セレクト:経営層/部長/課長/担当者/その他)
- 業種(セレクト:IT/製造/小売/サービス/その他)
- 企業規模(セレクト:大企業/中堅/中小/スタートアップ)
- 獲得経路(セレクト:Webフォーム/セミナー/広告/紹介)
- リードスコア(数値)
- 育成ステージ(ステータス:新規リード/育成中/ホットリード/商談化/失注)
- 関心事項(テキスト)
- 初回接触日(日付)
- 最終接触日(日付)
- 送信メール履歴(テキスト)
- 担当営業(ユーザー)
- 備考(テキスト)
- ビューを複数作成(「全リード」「新規リード」「育成中」「ホットリード」など)
つまづきポイント:セレクトプロパティの選択肢は、後から追加・変更できますが、最初から自社の状況に合わせて設定しておくと効率的です。
STEP 2:Googleスプレッドシートでスコアリングテーブルを作成
リードの属性と行動に基づいてスコアを計算するためのテーブルを作成します。
設定手順:
- 新しい Googleスプレッドシートを作成し、「リードスコアリング」という名前を付ける
- 「属性スコア」シートを作成し、以下のようなテーブルを作成:
項目 条件 スコア 役職 経営層 +20 役職 部長 +15 役職 課長 +10 役職 担当者 +5 企業規模 大企業 +15 企業規模 中堅 +10 企業規模 中小 +5 業種 IT +10 業種 製造 +8 - 「行動スコア」シートを作成し、以下のようなテーブルを作成:
行動 スコア 資料ダウンロード +5 セミナー参加 +20 事例ページ閲覧 +10 料金ページ閲覧 +15 メール開封 +2 メール内リンククリック +5 - 「リードデータ」シートを作成し、Notion と同期するためのデータを記録
つまづきポイント:スコアの基準は業界や自社の営業サイクルによって異なります。まずは仮の数値で運用を開始し、実際のコンバージョンデータを見ながら調整していくことをおすすめします。
STEP 3:Make で Webフォーム → Notion 自動登録フローを構築
Webフォームから送信されたリード情報を自動的に Notion に登録するフローを作成します。
設定手順:
- Make にログインし、新しいシナリオを作成
- トリガーモジュールの設定(使用するフォームツールに応じて選択):
- Google Forms の場合:「Google Forms > Watch Responses」を選択
- Typeform の場合:「Typeform > Watch Responses」を選択
- 自社Webサイトの場合:「Webhooks > Custom Webhook」を選択してフォームから送信
- Notion モジュールの追加:「Notion > Create a Database Item」を選択
- Database ID:先ほど作成した「リード管理データベース」を選択
- 各プロパティにフォームの回答をマッピング(名前、メールアドレス、会社名など)
- 「初回接触日」には「{{now}}」(現在日時)を設定
- 「育成ステージ」には「新規リード」を設定
- Googleスプレッドシート モジュールの追加:「Google Sheets > Add a Row」を選択
- スプレッドシート:「リードスコアリング」を選択
- シート:「リードデータ」を選択
- 各列にフォームの回答をマッピング
- シナリオを保存し、「ON」に切り替えて自動実行を開始
つまづきポイント:Notion の Database ID は、Notion データベースを Web ブラウザで開いた時の URL から取得できます(「https://notion.so/[workspace]/[DatabaseID]?v=…」の [DatabaseID] 部分)。
STEP 4:リードスコアリングの自動計算フローを追加
登録されたリード情報をもとに、自動的にスコアを計算して更新します。
設定手順:
- STEP 3 のシナリオに続けて、Google Sheets > Lookup Rows モジュールを追加
- スプレッドシート:「リードスコアリング」を選択
- シート:「属性スコア」を選択
- 条件:リードの役職・企業規模・業種に一致する行を検索
- Math モジュールを追加して、検索結果のスコアを合算
- 「役職スコア + 企業規模スコア + 業種スコア」を計算
- Notion > Update a Database Item モジュールを追加
- Database Item ID:先ほど作成したリードの ID
- 「リードスコア」プロパティに計算結果を設定
- Router(分岐)モジュールを追加し、スコアに応じて処理を分岐:
- ルート1:スコア 50点以上 → ホットリードとして営業チームに通知
- ルート2:スコア 30〜49点 → 育成メールフローを開始
- ルート3:スコア 29点以下 → 定期メールのみ配信
つまづきポイント:スコアリングロジックが複雑になる場合は、Googleスプレッドシートに数式を設定し、Make から「Google Sheets > Make an API Call」で QUERY 関数を実行する方法もあります。
STEP 5:ChatGPT API でパーソナライズメールを自動生成
リード情報を分析し、AIが最適化されたフォローアップメールを自動生成します。
設定手順:
- OpenAI Platform で API キーを取得
- Make のシナリオに HTTP > Make a Request モジュールを追加
- URL:https://api.openai.com/v1/chat/completions
- Method:POST
- Headers:
- Content-Type: application/json
- Authorization: Bearer [YOUR_API_KEY]
- Body(JSON形式):
{ "model": "gpt-4", "messages": [ { "role": "system", "content": "あなたはBtoBマーケティングの専門家です。リード情報をもとに、購買意欲を高める効果的なフォローアップメールを作成してください。" }, { "role": "user", "content": "以下のリード情報をもとに、初回フォローアップメールを作成してください。\n\n【リード情報】\n名前:{{名前}}\n会社名:{{会社名}}\n役職:{{役職}}\n業種:{{業種}}\n関心事項:{{関心事項}}\n獲得経路:{{獲得経路}}\n\n【メール要件】\n- 件名と本文を生成\n- 丁寧かつフレンドリーなトーン\n- 相手の業種や役職に合わせたパーソナライズ\n- 具体的な価値提案を含める\n- 次のアクション(資料ダウンロード、個別相談など)を促す" } ], "temperature": 0.7, "max_tokens": 800 }
- JSON > Parse JSON モジュールを追加して、ChatGPT のレスポンスを解析
- 生成されたメール文面を変数に格納(後続の Gmail 送信で使用)
つまづきポイント:ChatGPT の出力品質は、プロンプト(指示文)の質に大きく依存します。最初は簡単なプロンプトから始め、実際の出力を見ながら少しずつ改善していくことをおすすめします。
STEP 6:Gmail でナーチャリングメールを自動送信
ChatGPT で生成されたメール文面を、Gmail から自動的に送信します。
設定手順:
- Make のシナリオに Gmail > Send an Email モジュールを追加
- Gmail アカウントを接続(Make が Gmail にアクセスする権限を付与)
- メール設定:
- To:{{リードのメールアドレス}}
- Subject:{{ChatGPT が生成した件名}}
- Content:{{ChatGPT が生成した本文}}
- From Name:自社の担当者名
- Notion > Update a Database Item モジュールを追加して、送信履歴を記録
- 「送信メール履歴」プロパティに「初回フォローアップメール送信({{now}})」を追記
- 「最終接触日」を {{now}} に更新
- 「育成ステージ」を「育成中」に更新
つまづきポイント:Gmail の送信制限に注意してください。無料アカウントの場合、1日あたり500通、ビジネスアカウント(Google Workspace)の場合は2,000通までです。大量のリードがある場合は、送信を分散させる必要があります。
STEP 7:段階的なフォローアップメールの自動配信
初回メール送信後、一定期間経過後に2回目、3回目のフォローアップメールを自動配信します。
設定手順:
- 新しい Make シナリオを作成(「育成メールフォローアップ」という名前を付ける)
- Notion > Search Objects モジュールを追加(スケジュール実行:毎日午前10時)
- Database:「リード管理データベース」
- Filter:育成ステージが「育成中」で、かつ最終接触日が「3日前」のリードを検索
- 検索結果に対して、Iterator(繰り返し)モジュールを追加
- 各リードに対して、STEP 5 と同様に ChatGPT でメール生成
- プロンプトを調整:「2回目のフォローアップメールを作成してください。前回のメールで資料を案内したので、今回は具体的な導入事例を紹介してください。」
- Gmail でメール送信
- Notion の「送信メール履歴」と「最終接触日」を更新
- 同様に、「5日後」「7日後」「14日後」など、段階的なフォローアップシナリオを複数作成
つまづきポイント:フォローアップの間隔は、業界や商材の購買サイクルによって最適な設定が異なります。BtoB SaaS の場合は「3日後→7日後→14日後→30日後」といった間隔が一般的ですが、自社のデータをもとに調整しましょう。
STEP 8:ホットリード検知と営業チームへの自動通知
一定スコア以上のホットリードを自動的に検知し、営業チームに即座に通知します。
設定手順:
- STEP 4 のスコアリングフローの Router で、スコア 50点以上のルートに以下のモジュールを追加
- Gmail > Send an Email モジュールを追加
- To:営業チームのメールアドレス(sales@example.com など)
- Subject:【ホットリード通知】{{会社名}} {{名前}}様(スコア:{{リードスコア}}点)
- Content:
営業チームの皆様 高スコアのホットリードが検出されました。優先的にフォローアップをお願いします。 【リード情報】 名前:{{名前}} 会社名:{{会社名}} 役職:{{役職}} 業種:{{業種}} メールアドレス:{{メールアドレス}} リードスコア:{{リードスコア}}点 獲得経路:{{獲得経路}} 関心事項:{{関心事項}} 【Notion リンク】 {{Notion ページURL}} このリードは購買意欲が高い状態です。24時間以内のアプローチを推奨します。
- Notion > Update a Database Item モジュールを追加
- 「育成ステージ」を「ホットリード」に更新
- 「備考」に「営業チームに通知済み({{now}})」を追記
- (オプション)Slack 連携している場合は、Slack > Create a Message モジュールを追加して、営業チャンネルにも通知
つまづきポイント:ホットリードの基準(スコア閾値)は、自社の営業リソースとバランスを取る必要があります。通知が多すぎると営業チームが対応しきれず、少なすぎると機会損失につながります。まずは「週に5〜10件」程度を目安に閾値を調整しましょう。
STEP 9:定期レポートの自動生成(オプション)
リード育成の進捗状況を週次・月次で自動レポート化します。
設定手順:
- Googleスプレッドシートの「リードデータ」シートにピボットテーブルを作成
- 育成ステージ別のリード数
- 獲得経路別のコンバージョン率
- 平均育成期間
- 週次・月次の新規リード数推移
- 新しい Make シナリオを作成(スケジュール実行:毎週月曜日午前9時)
- Google Sheets > Get Range Values モジュールで集計データを取得
- ChatGPT API で分析レポートを自動生成
- プロンプト:「以下のマーケティングデータをもとに、週次レポートを作成してください。成果のハイライト、課題点、改善提案を含めてください。」
- Gmail > Send an Email でマーケティングチームにレポートを送信
5. 自動化前後でどう変わるか(ビフォーアフター)
作業時間の削減
自動化前:
- フォーム回答の手動転記:1件あたり5分 × 月間100件 = 500分(約8.3時間)
- リードスコアリングの手動計算:1件あたり3分 × 月間100件 = 300分(約5時間)
- フォローアップメールの作成・送信:1件あたり10分 × 月間200通 = 2,000分(約33時間)
- 営業チームへの個別連絡:1件あたり5分 × 月間20件 = 100分(約1.7時間)
- 合計:月間約48時間
自動化後:
- Make シナリオの監視・調整:月間2時間
- ChatGPT プロンプトの改善:月間2時間
- レポート確認と戦略調整:月間3時間
- 合計:月間約7時間
削減効果:月間約41時間(85%削減)
ミスの削減
自動化前によくあったミス:
- フォーム回答の転記ミス(メールアドレスの誤入力など)
- スコアリングの計算ミス
- フォローアップメールの送信漏れ
- ホットリードの見落とし
- 同じリードに重複してメール送信
自動化後:
- 転記ミスがゼロ(API 連携による正確なデータ転送)
- スコアリングの計算ミスがゼロ(ロジックが一貫して適用される)
- 送信漏れがゼロ(スケジュール実行で確実に配信)
- ホットリードの見落としがゼロ(自動検知と即時通知)
- 重複送信の防止(送信履歴を自動チェック)
メンバー間の情報共有のしやすさ
自動化前:
- リード情報が Excel や個人のメールボックスに散在
- 「あのリード、誰がフォローしてる?」といった確認に時間がかかる
- 営業チームとマーケティングチームの情報連携が遅れる
自動化後:
- すべてのリード情報が Notion に一元化され、リアルタイムで共有
- 育成ステージ、スコア、送信履歴がすべて可視化されている
- ホットリードは即座に営業チームに通知され、スピーディーなアプローチが可能
- 週次レポートで全体の進捗を把握し、データドリブンな戦略調整ができる
リード育成の質の向上
自動化前:
- 手作業では対応しきれず、多くのリードが放置されていた
- フォローアップのタイミングがバラバラで一貫性がない
- パーソナライズが不十分で開封率・返信率が低い
自動化後:
- すべてのリードに漏れなくフォローアップが届く
- 最適なタイミングで段階的にアプローチ(育成期間の短縮)
- AI による高品質なパーソナライズメールで開封率・返信率が向上
- スコアリングにより、リソースを優先度の高いリードに集中できる
6. 応用・拡張アイデア
アイデア1:行動トラッキングを追加してスコアをリアルタイム更新
現在のワークフローでは、初回フォーム送信時の属性情報のみでスコアリングしていますが、その後のリードの行動(メール開封、リンククリック、Webサイト訪問など)をトラッキングし、スコアをリアルタイムで更新することで、育成精度をさらに高められます。
実装方法:
- Gmail の「メール開封トラッキング」機能を有効化(Make の Gmail モジュールで設定可能)
- メール内のリンクに UTM パラメータを付与し、Google Analytics でクリックを計測
- Google Analytics と Make を連携し、特定のイベント(料金ページ閲覧、事例ページ閲覧など)が発生したら自動的にスコアを加算
- スコアが閾値を超えたタイミングで、ホットリード通知を送信
アイデア2:Slack 通知を追加して営業チームの反応速度を向上
メール通知だけでなく、Slack に即座に通知することで、営業チームがより迅速にホットリードにアプローチできます。
実装方法:
- Make のシナリオに「Slack > Create a Message」モジュールを追加
- 営業チャンネル(例:#sales-hot-leads)にリード情報を投稿
- Slack のスレッド機能を活用し、営業担当者が「対応中」「アポ獲得」などのステータスを返信できるようにする
- Slack の返信内容を Make でキャッチし、Notion の「備考」欄に自動反映
アイデア3:セグメント別のメールコンテンツ出し分け
現在のワークフローでは ChatGPT が個別にパーソナライズしていますが、業種や役職ごとに異なるメールテンプレートを用意することで、よりターゲットに刺さる内容を配信できます。
実装方法:
- Notion に「メールテンプレート管理」データベースを作成し、業種・役職別にテンプレートを登録
- Make のシナリオで、リードの属性に応じて適切なテンプレートを選択
- ChatGPT には「このテンプレートをベースに、リード情報を反映してパーソナライズしてください」という指示を与える
- テンプレートは定期的に A/B テストを実施し、開封率・返信率の高いものに改善
アイデア4:リードの失注理由を分析して改善
育成途中で反応がなくなったリード(失注)について、AI が自動で失注理由を分析し、改善提案を行います。
実装方法:
- 一定期間(例:30日間)メール開封がないリードを自動的に「失注」ステージに移動
- 失注リードのデータ(業種、役職、獲得経路、送信したメール内容など)を Googleスプレッドシートに集約
- 月次で ChatGPT API に失注データを送信し、「失注理由の仮説と改善提案」を自動生成
- 生成されたレポートをマーケティングチームに送信し、戦略改善に活用
アイデア5:マルチチャネル展開(LinkedIn、SMS など)
メールだけでなく、LinkedIn のメッセージや SMSなど、複数のチャネルでアプローチすることで、リーチ率を向上させます。
実装方法:
- Make で LinkedIn Sales Navigator API と連携し、ホットリードに自動的に LinkedIn メッセージを送信
- Twilio や SMS 送信サービスと連携し、特にスコアの高いリードには SMS でもアプローチ
- 各チャネルの反応率を Googleスプレッドシートで集計し、最も効果的なチャネルを特定
7. よくある質問・つまづきポイント Q&A
Q1:Make のシナリオが突然動かなくなりました。どうすればいいですか?
A:以下の点を順番にチェックしてください:
- Make の実行履歴を確認:シナリオの「History」タブでエラーメッセージを確認
- API 接続の有効期限:Notion、Gmail、Google Sheets などの API 接続が期限切れになっていないか確認し、再認証
- Notion データベースの構造変更:Notion でプロパティ名を変更したり削除したりすると、Make のマッピングが壊れます。Make のモジュール設定を再度確認
- Make の実行回数制限:無料プランの場合、月間1,000オペレーションを超えるとシナリオが停止します。使用状況を確認
Q2:ChatGPT で生成されるメールの品質が低いです。改善方法は?
A:以下の方法でプロンプトを改善してください:
- 具体例を追加:「このような文面を生成してください」という例文をプロンプトに含める
- NGワードを指定:「〜しないでください」という否定形の指示を追加(例:「セールス色の強い表現は避けてください」)
- トーンを明確化:「親しみやすく」「専門的に」「簡潔に」など、トーンを具体的に指示
- 文字数を制限:「300文字以内で」など、長さを指定
- モデルを変更:gpt-4 の代わりに gpt-4-turbo や gpt-3.5-turbo を試す
Q3:リードスコアの基準がわかりません。どう設定すればいいですか?
A:最初は仮の数値で運用を開始し、データをもとに調整していくことをおすすめします:
- 過去の成約データを分析:過去に成約したリードの特徴(役職、業種、企業規模、行動パターン)を洗い出す
- 仮説ベースでスコア設定:「経営層は決裁権があるから高スコア」「大企業は予算があるから高スコア」といった仮説をもとに設定
- 3ヶ月運用してデータ収集:どのスコア帯のリードが実際に商談化・成約したかを記録
- スコアリングロジックを調整:実データをもとにスコアの重み付けを見直す
- 定期的に見直し:四半期ごとにスコアリングロジックをレビューし、最適化
Q4:Gmail の送信制限に引っかかってしまいます。どう対処すればいいですか?
A:以下の対策を検討してください:
- Google Workspace(有料プラン)に移行:送信制限が1日2,000通に拡大
- 送信を分散:Make のスケジュール機能で、1日の送信を複数回に分けて実行(例:午前・午後・夜に分散)
- SendGrid や Mailgun を併用:大量送信が必要な場合は、専用のメール配信サービスに切り替え
- 送信対象を絞り込む:スコアの低いリードには送信頻度を下げ、リソースをホットリードに集中
Q5:Notion のデータベースが大きくなりすぎて重いです。どうすればいいですか?
A:以下の方法でデータベースを整理してください:
- アーカイブ用データベースを作成:商談化済み・失注のリードは別データベースに移動
- 定期的なデータクリーンアップ:月次で古いリード(例:6ヶ月以上反応なし)をアーカイブ
- ビューを活用:「新規リード」「育成中」など、必要なデータだけを表示するビューを作成
- Notion API の制限を考慮:Make で大量のデータを一度に処理すると API 制限に引っかかるため、バッチ処理を小分けにする
Q6:複数の担当者でリードを管理したいのですが、どうすればいいですか?
A:Notion のユーザープロパティを活用してアサイン機能を実装できます:
- Notion データベースに「担当営業」プロパティ(タイプ:ユーザー)を追加
- Make のシナリオで、ホットリード検知時に自動的に担当者をアサイン
- 例:ラウンドロビン方式(順番に割り振る)
- 例:業種別に担当者を固定
- 例:スコアの高さに応じてシニア営業にアサイン
- 担当者には個別に通知メールを送信(「あなたにアサインされました」)
- Notion のビューで「自分の担当リード」だけを表示するフィルタを設定
8. まとめ:まずどこから着手すべきか
ここまで、リード獲得からナーチャリングまでの包括的なマーケティングオートメーションワークフローを解説してきました。しかし、いきなりすべてを実装する必要はありません。以下のステップで段階的に構築していくことをおすすめします。
フェーズ1:まずは「リード情報の一元管理」から(初週)
最初の1週間は、Webフォームから Notion への自動登録だけを実装しましょう。
- Notion でリード管理データベースを作成
- Make で「フォーム送信 → Notion 登録」のシンプルなフローを構築
- 数件のテストデータで動作確認
この段階でも、リード情報の散在がなくなり、チーム全体で情報共有できるという大きなメリットがあります。
フェーズ2:「リードスコアリング」を追加(2週目)
次に、リードの優先度を可視化するためのスコアリング機能を追加します。
- Googleスプレッドシートでスコアリングテーブルを作成
- Make でスコア計算ロジックを実装
- Notion にスコアを自動反映
これにより、どのリードを優先的にフォローすべきかが明確になります。
フェーズ3:「初回フォローアップメールの自動送信」を実装(3週目)
スコアリングができたら、次はメール配信を自動化します。
- ChatGPT API を連携してメール文面を自動生成
- Gmail から初回フォローアップメールを自動送信
- 送信履歴を Notion に記録
まずは初回メールだけを自動化し、2回目以降のフォローアップは手動で対応しても構いません。
フェーズ4:「段階的なフォローアップ」と「ホットリード通知」を追加(4週目以降)
初回メールの効果を確認しながら、段階的に機能を拡張します。
- 2回目、3回目のフォローアップメールを自動化
- ホットリード検知時の営業チームへの自動通知を実装
- レポート機能を追加して効果測定
成功のための3つのポイント
1. 小さく始めて、データをもとに改善する
完璧なワークフローを最初から作ろうとせず、まずはシンプルな形で運用を開始し、実際のデータを見ながら少しずつ改善していきましょう。
2. チーム全体で運用ルールを共有する
マーケティングチームと営業チームが連携し、「スコア◯点以上は営業がフォロー」「◯日以内に対応」といったルールを明確にすることが重要です。
3. 定期的にスコアリングロジックとメール内容を見直す
市場環境や顧客のニーズは変化します。四半期ごとにスコアリングロジックとメールテンプレートを見直し、最適化を続けましょう。
このワークフローを導入することで、リード獲得から育成、商談化までのプロセスが大幅に効率化され、マーケティングチームはより戦略的な業務に時間を使えるようになります。
まずは「リード情報の一元管理」から始めて、段階的に機能を拡張していきましょう。あなたのビジネスに最適なマーケティングオートメーションが実現できることを願っています。