営業日報の自動集計・週次報告を効率化するワークフロー|Notion・Make・Googleスプレッドシート・Slackを組み合わせた実践レシピ

営業日報の自動集計・週次報告を効率化するワークフロー - アナリティクスダッシュボード

1. ゴールと前提条件

このワークフローで実現すること

営業担当者が毎日記録する日報データを自動的に集計し、週次や月次での活動報告を効率化するワークフローです。具体的には以下を実現します:

  • 日報入力の簡素化:Notionのテンプレートを活用し、営業担当者が素早く日報を記録できる環境を構築
  • データの自動集計:個別の日報データをGoogleスプレッドシートに自動転記し、訪問件数・商談数・受注額などを自動集計
  • 週次レポートの自動生成:毎週決まった曜日に、自動的に集計結果をSlackに通知
  • 上司への報告時間の削減:手動での集計作業を削減し、週次報告にかかる時間を80%削減

このワークフローを導入することで、営業担当者は日報入力にかかる時間を1日あたり約10分削減でき、マネージャーは週次報告の作成時間を約2時間削減できます。

前提となる環境

このワークフローを実装するには、以下の環境が必要です:

  • Notion(無料プランでも可):営業日報の入力・管理用データベース
  • Make(旧Integromat)(無料プランでも可、月間1,000オペレーションまで):ワークフローの自動化エンジン
  • Googleスプレッドシート(Googleアカウントがあれば利用可):データ集計・分析用
  • Slack(無料プランでも可):週次レポートの通知先

各ツールの基本的な操作ができれば、このワークフローは実装可能です。プログラミングの知識は不要です。

2. 全体フローの俯瞰図

このワークフローは、以下の4つのステップで構成されています:

STEP 1:トリガー(日報入力)
営業担当者がNotionのデータベースに日報を入力します。訪問先、活動内容、商談結果、次回アクション等を記録します。

STEP 2:データ転送と蓄積
Makeが定期的(例:1時間ごと)にNotionの新規日報データを検知し、Googleスプレッドシートに自動転記します。このスプレッドシートが全営業メンバーの活動データの集約場所となります。

STEP 3:自動集計と分析
Googleスプレッドシートの関数(SUM、COUNTIF、QUERY等)により、週次・月次の集計が自動的に行われます。訪問件数、商談数、受注金額、進行中案件数などが自動計算されます。

STEP 4:週次レポート通知
毎週月曜日の朝9時(または任意の曜日・時刻)に、Makeが自動的にスプレッドシートの集計結果を取得し、整形されたレポートをSlackの指定チャンネルに投稿します。

この一連の流れにより、営業担当者は「日報を書く」という日常業務を続けるだけで、自動的に集計とレポート作成が完了します。

3. 使用するツールと役割

Notion:日報入力のフロントエンド

Notionは、このワークフローにおいて営業担当者が日報を入力する「フロントエンド」の役割を担います。

主な役割:

  • 営業日報データベースの構築と管理
  • テンプレート機能による入力の標準化
  • 営業メンバー個人の活動履歴の可視化
  • 過去の日報検索やフィルタリング

Notionのデータベース機能を使うことで、営業担当者は決まった項目を効率的に入力でき、入力漏れを防ぐことができます。また、個人のワークスペースとしても活用できるため、営業メンバーの受け入れがスムーズです。

Make:ワークフロー自動化のエンジン

Makeは、各ツール間のデータ連携を自動化する中核エンジンです。

主な役割:

  • Notionから新規日報データを定期的に取得
  • 取得したデータをGoogleスプレッドシートに転記
  • スケジュールに基づいて週次レポートを自動送信
  • エラー発生時の通知

Makeはビジュアルエディタで処理フローを構築できるため、コードを書かずに複雑な自動化を実現できます。無料プランでも月間1,000オペレーションまで利用可能なため、中小規模のチームなら十分に運用できます。

Googleスプレッドシート:データ集計と分析

Googleスプレッドシートは、全営業メンバーの日報データを集約し、集計・分析を行うデータウェアハウスとして機能します。

主な役割:

  • 日報データの一元管理(全メンバー分を統合)
  • 関数による自動集計(週次、月次、メンバー別)
  • グラフやピボットテーブルによる可視化
  • 履歴データの長期保管

スプレッドシートの強力な関数機能(QUERY、SUMIF、COUNTIF等)を活用することで、複雑な集計処理もノーコードで実現できます。

Slack:レポート配信と情報共有

Slackは、集計結果を自動配信し、チーム全体で営業活動の進捗を共有するコミュニケーションツールとして機能します。

主な役割:

  • 週次レポートの自動投稿
  • 営業チーム全体での情報共有
  • レポートに対するディスカッション
  • 緊急の通知やアラート配信

Slackに自動投稿することで、メールでの報告と比べて情報の到達率が高く、リアクション機能でフィードバックを得やすくなります。

4. 手順詳細(ステップバイステップ)

STEP 1:Notionで営業日報データベースを作成する

まず、Notionに営業日報を管理するデータベースを作成します。

実装手順:

  1. 新規ページを作成:Notionのワークスペースで「新規ページ」をクリックし、「データベース – フル」を選択します。
  2. データベース名を設定:「営業日報」や「Sales Daily Report」など、わかりやすい名前をつけます。
  3. プロパティを設定:以下のプロパティ(列)を追加します:
    • 日付(Date型):日報の日付
    • 担当者(Person型またはSelect型):営業担当者名
    • 訪問先/商談先(Text型):訪問した顧客名や商談先
    • 活動タイプ(Select型):「訪問」「電話」「メール」「オンライン商談」などから選択
    • 商談ステータス(Select型):「初回接触」「提案中」「見積提示」「受注」「失注」などから選択
    • 商談金額(Number型):想定または確定の金額
    • 活動内容(Text型):具体的な商談内容や訪問結果
    • 次回アクション(Text型):次に取るべき行動
    • 次回予定日(Date型):フォローアップの予定日
  4. ビューを整理:デフォルトの「テーブルビュー」のほか、「カレンダービュー」を追加すると、日報を日付ごとに俯瞰しやすくなります。
  5. テンプレートを作成:データベースの右上にある「新規」ボタンの横の「▼」から「新しいテンプレート」を選択し、よく使う項目をあらかじめ入力しておきます。

つまづきポイント:

  • プロパティの型を間違える:日付は必ず「Date型」、金額は「Number型」にしないと、後の集計がうまくいきません。設定時に型を確認しましょう。
  • Select型の選択肢が多すぎる:活動タイプやステータスの選択肢は5〜7個程度に絞り、シンプルにしましょう。

STEP 2:Googleスプレッドシートで集計シートを準備する

次に、Notionから転記されたデータを受け取り、集計するスプレッドシートを作成します。

実装手順:

  1. 新規スプレッドシートを作成:Googleドライブから「新規」→「Googleスプレッドシート」で新規ファイルを作成し、「営業日報集計」などの名前をつけます。
  2. 「生データ」シートを作成:1枚目のシートを「生データ」とリネームし、以下の列見出しを設定します:
    • A列:日付
    • B列:担当者
    • C列:訪問先
    • D列:活動タイプ
    • E列:商談ステータス
    • F列:商談金額
    • G列:活動内容
    • H列:次回アクション
    • I列:次回予定日
  3. 「週次集計」シートを作成:新しいシートを追加し、「週次集計」と名前をつけます。ここに以下の集計項目を配置します:
    • 週の期間(例:2025/01/06〜2025/01/12)
    • 総訪問件数:活動件数の合計
    • 商談件数:商談ステータスが「初回接触」以上の件数
    • 受注件数:商談ステータスが「受注」の件数
    • 受注金額:受注した案件の金額合計
    • 進行中案件数:商談ステータスが「提案中」「見積提示」の件数
  4. 集計関数を設定:週次集計シートに以下のような関数を設定します:
    • 総訪問件数=COUNTIFS(生データ!$A:$A, ">="&B2, 生データ!$A:$A, "<="&C2)
      (B2セルに週の開始日、C2セルに終了日を入力)
    • 受注件数=COUNTIFS(生データ!$A:$A, ">="&B2, 生データ!$A:$A, "<="&C2, 生データ!$E:$E, "受注")
    • 受注金額=SUMIFS(生データ!$F:$F, 生データ!$A:$A, ">="&B2, 生データ!$A:$A, "<="&C2, 生データ!$E:$E, "受注")
  5. グラフを追加(オプション):週次推移を可視化するため、訪問件数や受注金額の折れ線グラフを追加します。

つまづきポイント:

  • 日付の範囲指定が難しい:週の開始日・終了日を手動で入力するのではなく、=TODAY()-WEEKDAY(TODAY())+1のような関数で自動計算すると便利です。
  • 集計関数のエラー:COUNTIFSやSUMIFSは範囲と条件の数を合わせないとエラーになります。慎重に設定しましょう。

STEP 3:Makeでワークフローを構築する(Notion → スプレッドシート)

ここからが自動化の核心部分です。Makeを使って、Notionの日報データを定期的にスプレッドシートに転記する処理を構築します。

実装手順:

  1. Makeアカウントを作成Make公式サイトから無料アカウントを作成します。
  2. 新しいシナリオを作成:ダッシュボードから「Create a new scenario」をクリックします。
  3. Notionモジュールを追加
    • 「+」ボタンをクリックし、「Notion」を検索して選択します。
    • アクションは「Search Objects」を選択します。
    • 「Create a connection」をクリックし、Notionアカウントとの連携を許可します。
    • 「Database ID」に、先ほど作成した営業日報データベースのIDを入力します(NotionのデータベースURLの末尾32文字がIDです)。
    • 「Filter」で検索条件を設定します。例えば「Created time」が「過去24時間以内」など。
  4. Googleスプレッドシートモジュールを追加
    • Notionモジュールの右側に「+」ボタンが表示されるのでクリックし、「Google Sheets」を検索して選択します。
    • アクションは「Add a Row」を選択します。
    • 「Create a connection」でGoogleアカウントと連携します。
    • 「Spreadsheet」で先ほど作成したスプレッドシートを選択し、「Sheet」は「生データ」を選択します。
    • 各列に対応するNotionのプロパティをマッピングします:
      • A列(日付):Notionの「日付」プロパティ
      • B列(担当者):Notionの「担当者」プロパティ
      • C列(訪問先):Notionの「訪問先」プロパティ
      • … 以下同様に全プロパティをマッピング
  5. スケジュール設定
    • シナリオの左上にある時計アイコンをクリックします。
    • 「Scheduling」を選択し、実行間隔を設定します(例:1時間ごと、または毎日特定の時刻)。
  6. テスト実行
    • 画面下部の「Run once」をクリックして、動作をテストします。
    • Notionに実際に日報データを1件入力し、Makeが正しく取得してスプレッドシートに転記されるか確認します。
  7. シナリオを有効化
    • テストが成功したら、画面下部の「ON」スイッチをクリックしてシナリオを有効化します。
    • これで自動的に定期実行されるようになります。

つまづきポイント:

  • Notion Database IDが見つからない:NotionのデータベースをWebブラウザで開き、URLの「?v=」の前までの32文字の英数字がDatabase IDです。
  • プロパティのマッピングミス:Notionのプロパティ名とスプレッドシートの列見出しは完全一致させる必要はありませんが、データ型(日付、数値、テキスト)は合わせる必要があります。
  • 重複データの転記:同じ日報が何度も転記されないように、Notionの「Filter」で「Created time」を条件にするか、スプレッドシート側で重複チェックの関数を追加します。

STEP 4:Makeで週次レポートの自動送信を設定する(スプレッドシート → Slack)

最後に、週次で自動的に集計結果をSlackに投稿する処理を構築します。

実装手順:

  1. 新しいシナリオを作成:Makeのダッシュボードから「Create a new scenario」をクリックします(STEP 3とは別のシナリオです)。
  2. スケジュールトリガーを設定
    • 最初のモジュールとして「Schedule」を選択します(時計アイコン)。
    • 「Days of the week」で「Monday」を選択し、「Time」を「09:00」に設定します(毎週月曜日の朝9時に実行)。
  3. Googleスプレッドシートモジュールを追加
    • 「+」ボタンから「Google Sheets」を選択します。
    • アクションは「Get a Range of Cells」を選択します。
    • 「Spreadsheet」で集計用のスプレッドシートを選択し、「Sheet」は「週次集計」を選択します。
    • 「Range」に集計結果のセル範囲を指定します(例:A2:F2で最新週のデータを取得)。
  4. データを整形する(オプション)
    • スプレッドシートから取得した生データをSlackで読みやすい形式に整形するため、「Text aggregator」モジュールを挟むと良いでしょう。
    • 例:「今週の営業活動サマリー\n訪問件数:XX件\n商談件数:XX件\n受注件数:XX件\n受注金額:XX万円」のようなメッセージを作成します。
  5. Slackモジュールを追加
    • 「+」ボタンから「Slack」を検索して選択します。
    • アクションは「Create a Message」を選択します。
    • 「Create a connection」でSlackワークスペースとの連携を許可します。
    • 「Channel」で投稿先のチャンネルを選択します(例:#営業チーム、#sales-report など)。
    • 「Text」に、先ほど整形したメッセージを入力します。スプレッドシートから取得した値を埋め込みます。
    • 「Username」や「Icon」をカスタマイズすると、Bot投稿として分かりやすくなります(例:ユーザー名を「営業レポートBot」に設定)。
  6. テスト実行
    • 「Run once」をクリックして動作をテストします。
    • Slackの指定チャンネルに正しくメッセージが投稿されるか確認します。
  7. シナリオを有効化
    • テストが成功したら、「ON」スイッチをクリックしてシナリオを有効化します。
    • これで毎週月曜日の朝9時に自動的にレポートが投稿されるようになります。

つまづきポイント:

  • Slackチャンネルに投稿できない:Makeとの連携時に、適切な権限(「chat:write」など)を付与していないと投稿に失敗します。連携設定を見直しましょう。
  • 週次集計の範囲がずれる:スプレッドシートの「週次集計」シートで、週の開始日・終了日が正しく計算されているか確認しましょう。月曜日を週の開始とする場合、=TODAY()-WEEKDAY(TODAY(),2)で計算できます。
  • メッセージが読みにくい:Slackのメッセージフォーマットには改行(\n)やMarkdown記法(**太字**など)が使えるので、読みやすく整形しましょう。

5. 自動化前後でどう変わるか(ビフォーアフター)

ビフォー:手動での日報集計と報告

営業担当者の作業(1日あたり):

  • 日報作成:15分(Excelやメールで個別に報告)
  • 上司からの確認・修正依頼対応:5分
  • 合計:約20分/日

マネージャーの作業(週あたり):

  • 各メンバーの日報をExcelから収集:30分
  • 手動でのデータ集計(訪問件数、受注金額など):60分
  • 週次レポートの作成とメール送信:30分
  • 合計:約2時間/週

課題:

  • 各メンバーの報告フォーマットがバラバラで集計しにくい
  • 集計ミスが発生しやすい
  • リアルタイムで進捗が把握できない
  • 過去データの分析が困難

アフター:自動化ワークフロー導入後

営業担当者の作業(1日あたり):

  • Notionへの日報入力:10分(テンプレートで効率化)
  • 上司からの確認依頼:ほぼなし
  • 合計:約10分/日(50%削減)

マネージャーの作業(週あたり):

  • データ収集・集計:自動化により0分
  • Slackで配信された週次レポートの確認:5分
  • 必要に応じて追加分析:15分
  • 合計:約20分/週(約90%削減)

改善効果:

  • 時間削減:営業チーム全体で週あたり約2.5時間の削減(5人チームの場合)
  • ミス削減:手動集計によるミスがゼロに
  • リアルタイム性向上:スプレッドシートでいつでも最新の進捗を確認可能
  • データ活用:過去データの蓄積により、トレンド分析や予測が可能に
  • 透明性向上:全メンバーの活動が可視化され、チーム内での情報共有が促進

メンバー間の共有のしやすさ

従来のメール報告では、情報が各メンバーの受信箱に分散してしまい、「先週のあの情報、どこにあったっけ?」という状況が頻発していました。

自動化後は、全ての日報データがNotionとスプレッドシートに一元化され、週次レポートもSlackの特定チャンネルに集約されるため、情報の検索性と共有性が大幅に向上します。

6. 応用・拡張アイデア

このワークフローは、さらに以下のような拡張が可能です:

1. ChatGPT APIで週次レポートを自動要約

Makeのシナリオに「OpenAI」モジュールを追加し、週次の活動データをChatGPT APIに送信することで、自動的に要約コメントを生成できます。

例:
「今週は訪問件数が先週比120%と好調でしたが、受注率は15%と若干低下しています。商談のクロージング強化を推奨します。」

このような洞察コメントを自動生成し、Slackのレポートに追加することで、マネージャーの分析負担をさらに削減できます。

2. 通知方法をSlackからメールに変更

Slackモジュールの代わりに「Gmail」モジュールを使うことで、週次レポートをメールで送信することも可能です。経営層など、Slackを使わないメンバーへの報告に便利です。

3. Notionの代わりにGoogleフォームで日報入力

営業メンバーがNotionに慣れていない場合、Googleフォームで日報を入力し、回答を自動的にスプレッドシートに蓄積する方法もあります。この場合、STEP 3のNotionモジュールは不要になり、直接スプレッドシート内でデータ処理を行います。

4. 個人別のパフォーマンスダッシュボード作成

Googleスプレッドシートに「メンバー別集計」シートを追加し、各営業担当者ごとの訪問件数、受注率、目標達成率などを自動計算します。Looker Studio(旧Google Data Studio)と連携すれば、リアルタイムダッシュボードも構築できます。

5. 異常値アラートの追加

Makeのシナリオに条件分岐を追加し、「今週の訪問件数が平均の50%以下」「受注がゼロ」などの異常値を検知した場合に、マネージャーに個別通知を送る機能を追加できます。

6. CRM(Salesforceなど)との連携

既にSalesforceやHubSpotなどのCRMを使っている場合、Makeを介してNotionの日報データをCRMに同期することも可能です。これにより、営業活動と顧客管理を完全に統合できます。

7. よくある質問・つまづきポイントQ&A

Q1: Makeのシナリオが実行されない / トリガーが発火しない

A: 以下を確認してください:

  • シナリオが「ON」になっているか:画面下部のスイッチを確認します。
  • スケジュール設定が正しいか:時計アイコンから設定を再確認します。
  • Notionのフィルター条件:「Created time」の条件が厳しすぎると、データが取得されません。テストとして条件を緩めてみましょう。
  • Makeの無料プラン制限:月間1,000オペレーションを超えていないか、ダッシュボードで使用量を確認します。

Q2: スプレッドシートに同じデータが何度も転記される

A: Notionの「Search Objects」モジュールで、毎回同じデータを取得している可能性があります。

  • 解決策1:Notionのフィルターで「Created time」を「過去24時間以内」など、直近のデータのみを取得するように設定します。
  • 解決策2:スプレッドシート側に「日報ID」列を追加し、Makeのシナリオに「重複チェック」ロジックを組み込みます(「Get a Row」で既存データを検索し、存在しない場合のみ追加)。

Q3: Slackに投稿される週次レポートの数値がおかしい

A: スプレッドシートの集計関数に問題がある可能性があります。

  • 確認ポイント1:週の開始日・終了日が正しく計算されているか、「週次集計」シートで確認します。
  • 確認ポイント2:COUNTIFSやSUMIFSの条件が正しいか(例:「受注」という文字列が完全一致しているか)を確認します。
  • 確認ポイント3:「生データ」シートに空白行や重複データがないか確認します。

Q4: NotionのDatabase IDがわからない

A: NotionのデータベースをWebブラウザで開き、URLを確認します。

  • URL例:https://www.notion.so/xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx?v=yyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyy
  • 「?v=」の前の32文字の英数字(xの部分)がDatabase IDです。
  • コピーしてMakeの「Database ID」フィールドに貼り付けます。

Q5: 営業メンバーがNotionに日報を入力してくれない

A: これは技術的な問題ではなく、運用上の課題です。以下の工夫が有効です:

  • 入力を簡単にする:テンプレートを活用し、選択肢(Select型)を多用して、テキスト入力を最小限にします。
  • リマインダーを設定:Slackで毎日18時に「今日の日報を入力してください」とリマインドするBot(Makeで実装可能)を追加します。
  • メリットを明確にする:「日報を入力するだけで、週次報告が自動化されます」と伝え、営業メンバー自身の負担が減ることを強調します。
  • 段階的に導入:最初は1〜2人のメンバーで試験導入し、効果を実感してもらってから全体展開します。

Q6: エラーが発生した時に気づけない

A: Makeのシナリオに「エラーハンドラー」を追加することで、エラー発生時に通知を受け取れます。

  • 各モジュールの右クリックメニューから「Add error handler」を選択します。
  • エラー時のアクションとして「Slack」モジュールを追加し、指定チャンネルにエラー内容を投稿するよう設定します。
  • これにより、ワークフローが止まったことに即座に気づけます。

8. まとめ:まずどこから着手すべきか

このワークフローは、いきなり全てを実装する必要はありません。以下のように段階的に導入することをおすすめします:

フェーズ1:Notionでの日報入力を開始(1週間)

まずはNotionに営業日報データベースを作成し、営業メンバーに日報を入力してもらう習慣を作ります。自動化は後回しにして、まずは「Notionに情報を集約する」ことに集中しましょう。

この段階では、手動でNotionからデータをエクスポートし、Excelで集計しても構いません。重要なのは、営業メンバーが日報入力に慣れることです。

フェーズ2:Notion → スプレッドシートの自動転記(2週間目)

Notionでの日報入力が定着したら、Makeを使ってスプレッドシートへの自動転記を実装します。STEP 3の手順に従って、1日1回(または1時間ごと)の自動転記を設定しましょう。

この段階で、集計作業の大部分が自動化され、営業活動の全体像がリアルタイムで把握できるようになります。

フェーズ3:週次レポートの自動配信(3週間目)

データの自動転記が安定稼働したら、STEP 4の週次レポート自動配信を追加します。最初は月曜日の朝だけでなく、金曜日の夕方にも「今週の中間報告」を配信するなど、チームのニーズに合わせて調整しましょう。

フェーズ4:応用機能の追加(4週間目以降)

基本的なワークフローが定着したら、ChatGPT APIによる要約生成や、個人別ダッシュボードの作成など、応用機能を追加していきます。

最初の一歩:今日やるべきこと

このワークフローを導入するために、まず今日取り組むべきことは以下の2つです:

  1. Notionに営業日報データベースを作成する(所要時間:30分)
  2. 営業メンバー1〜2名に試験的に日報を入力してもらう(所要時間:10分/日)

まずはこの2つから始めて、営業日報の自動化への第一歩を踏み出しましょう。自動化によって削減された時間を、より本質的な営業活動に充てることで、チーム全体の成果が向上していくはずです。

このワークフローがあなたの営業チームの生産性向上に役立つことを願っています。不明な点があれば、各ツールの公式ドキュメントやコミュニティフォーラムを活用しながら、一つずつ解決していきましょう。